Source: http://www.nishinippon.co.jp/media/news/news-today/20051006/morning_news003.html
西日本新聞
2005年10月6日
福岡県警捜査一課と福岡南署は五日、実子を連れ去った未成年者略取の疑いで、弁護士渡辺正則容疑者(47)=横浜市南区=と、同容疑者の父の無職、春海
容疑者(73)=名古屋市千種区=を逮捕した。渡辺容疑者は、福岡地裁の裁判官を務めたことがある。「子どもを連れ戻しただけ」と容疑を否認しているという。
調べでは、渡辺容疑者ら二人は四日午前七時十五分ごろ、福岡市南区大楠三丁目の西鉄高宮駅構内で、登校中だった実子で小学三年生の女児(9つ)を連れ
去った疑い。女児は「助けて」と叫んだが、渡辺容疑者らは抱きかかえて、車に乗せ、春海容疑者の自宅がある名古屋市まで連れ去った。春海容疑者は「間違いない」と認めているという。
同日午前九時、女児が通う小学校から「登校していない」と連絡を受けた母親が県警に届け出ていた。
県警によると、渡辺容疑者と女児の母親(元妻)は離婚と親権をめぐる訴訟を起こし、昨年九月十日に最高裁で母親に親権を認める判決が確定。同年十月一日に両者は離婚届を出したうえで、母親は親権を自分の祖父母に移し、祖父母や女児と福岡市南区に住んでいた。
その後、渡辺容疑者は親権をめぐる訴えを福岡家裁に申し立てており、十月四日が裁判の日だった。県警は、前日の三日から渡辺容疑者が福岡市に来ていたこ
となどから容疑者を割り出し、名古屋市の春海容疑者宅で女児と一緒にいるところを五日夕、現行犯逮捕した。県警は連れ去りを手伝った福岡市内の探偵業者の社員二人も同容疑で逮捕する方針。
渡辺容疑者は一九八九年に司法試験に合格し、神戸地裁判事補を経て九五年から福岡地裁判事補。七、八年前から弁護士になったという。現在、第一東京弁護士会に所属している。
「法律家以前だ」弁護士ら驚きの声
実子を連れ去ったとして未成年者略取の現行犯として逮捕された父親は、現役の弁護士で、しかも十年ほど前までは福岡地裁の判事補だった。福岡県警が五日に発表した異例の事件について、福岡の法曹界からは驚きの声も上がった。
渡辺正則容疑者(47)と同じく裁判官出身の男性弁護士=福岡県弁護士会=は五日夜、「事件の詳細は不明だが、いくら子どもへの愛情があるといっても、
最高裁で親権が確定した上、再び家裁に申し立てているさなかに、力ずくで連れて行くようなやり方はひど過ぎる。何のために法秩序があるのか」と感想を漏らした。親権をめぐっては、最高裁で確定した後も、事情が変われば再び訴えが可能という。弁護士は「司法の場できちっと争うべきで、法律家以前の常識の問題
だ」と述べた。
ただ、「身内の問題」で逮捕された点については「逃亡や罪証隠滅の恐れがあるなど、逮捕の必要が本当にあったのか、慎重に検討されなければならないだろう」とも付け加えた。
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