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日本は親による子供の奪取の聖域である

原文:共同ニュース ササキ サヨ
2006年1月6日

Source: http://www.crisscross.com/jp/feature/1041

 

日本語翻訳:CRNジャパン
 

東京―カナダのブリティッシュコロンビア州リッチモンド出身の小学校教師、Murray Wood氏は、2004年のクリスマスまでに自分の子供が帰って来るものと思っていた。

11月、十歳のタカラちゃんと七歳のミナミちゃんは、日本人である先妻と一緒に、十二日間の予定で日本に旅立った。祖父の体調が非常に悪いということで、会いに出かけたのだ。

しかし、二人の子供は戻ってこなかった。自分の子供を、もう片方の親によって、国を越えて奪取された親が、世界に何千人といる。Wood氏は、自分もそういう親の一人になったことを思い知ったのだった。

三十九歳になるこの教師は、カナダの裁判所によって子供の単独監護権を与えられているにも関わらず、埼玉県の裁判所における短時間の面会以外に、子供と直接連絡を取ることを妨げられている。

子供を取り戻すために賢明な努力をしているにも関わらず、失敗の連続だとWood氏は語る。Wood氏は最近、東京で開かれた、親による子供の奪取に関する国際セミナーに出席した。

追加情報

国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約 : マウラ・ハーティー米国国務次官補(領事業務担当) (cached copy)

Wood氏と同じような状況にある親たちは、もう片方の親によって奪取された子供を連れ戻すことは勿論のこと、連絡を取ることさえ難しい状況にある。特に、“国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約”に調印していない国に住む親によって奪取された場合は、より厳しい状況だ。

1980年に制定されて以来、現在までに七十五カ国によって批准されてきたこの条約では、もしも子供が、居住する国の法の下に認められた親権に反して、連れ去られたり匿われたりしている場合、その子供は速やかに元の居住する国に返還されなければならない、と述べている。

日本は子供の奪取に関するハーグ条約に署名しないだろう

 しかし、先進七カ国の中で、相変わらず日本だけが条約に調印していない。また日本は、強制力のある手段がないため、子供を奪取された親を支援するような代替手段も持たないのである。

「日本では、奪取された子供を強制的に返還するということは、非常にまれなことです。なぜならば、日本ではそれは自主的になされなければならないからです。」沖縄で弁護士業を営むアメリカ人、Annette Marie Eddie-Callagain氏はこのように語る。

「日本では、他国の裁判所からの命令は認められません。なぜならば、日本は他の司法権からの命令に従う必要はないとしているからです。」

「その結果、日本は、国際的な親による子の奪取の聖域になっています。」と同氏は語る。

日本で臨床心理士として活動するJim McRae氏は、他の要因を指摘する。日本にいる子供に面会しようとする外国人を、日本人が妨げる背景として、「離婚した後にも家族の絆を維持しようとする考え方が、彼らにとっては異質なものだからです。」と言う。

「日本では、離婚したら、別れた配偶者との付き合いは全く無くなります。子供達とも付き合いは無くなって、いわば昔の親といった存在になってしまうのです」、とMcRae氏は語る。

国際結婚や離婚が増える中、国境を越えた形での親による子供の奪取も増加しています。

国際離婚の件数が15,200件を超す

日本の厚生労働省によって行われた調査によると、2004年に日本で結婚した夫婦の二十組のうち、一組以上が国際結婚だという。また最近では、国際離婚の件数が15,200件を上回ってきている。

「もしも幸いにも、自分の子供に会えなくなるという事例がまだ日本にはないとしても、そのうちそういう状況が起こる日が来るだろう。」米国国務次官補、領事業務担当であるMaura Harty氏は、東京で開かれた記者会見でこのように警告した。米国では毎年、平均して1100家族が子供の返還を求めている、と次官補は語る。

日本政府は、複雑な司法の問題が妨げとなり、現段階においては条約には調印出来ないということを、Harty氏を含む外国の高官たちに繰り返し伝えている。

外務省のある役人は言う。「われわれは、“国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約”を重要なものだと考えている。しかし、その法的側面も検討する必要があるため、いつ調印できるかはまだ分からない。」

法務省はここ数年、司法の専門家の助けを借りながら、この条約を検討してきている。

しかし、多くの問題が障害となって、日本は直ちに条約に調印することが出来ない、と外務省役人は言う。たとえば、親による子供の奪取を政府のどの部門が主に担当すべきか、関係省庁がどのように連携していくか、また、親による子供の奪取に関して、実際にどれほどの日本人が政府の手助けを必要としているか、という問題である。

12月に東京で開かれた、国際的な親による子供の奪取に関するセミナーのあと、共同記者会見が行われた。そこで、EUの二十五加盟国を代表する米国、カナダ、英国は、奪取事例が世界で増加している状況を受けて、日本に対して条約に加わるよう促した。

現在、日本の米国大使館は約20件、カナダ大使館は21件、英国大使館は5件の子供の奪取事例を扱っていると、当大使館の職員達は語る。

米国によると、親による子供の奪取の件数は、東アジア諸国の中で日本が最多であるという。

Harty氏は、「親による子供の奪取問題の解決にとって、ハーグ条約は完全なものではないが、最も有効な望みである」として、日本政府に対して当条約への加入を求めた。

しかし、東北大学にて国際私法の助教授をつとめる西谷裕子氏は、「条約調印は簡単に出来るものではない」とする。

ハーグ条約の義務を遵守するために、行政や司法当局に対して効果的な強制手段を与えるということが、日本の条約調印において大きな障害になっている、と西谷氏は語る。

しかし、もしも日本が調印しないままでいたなら、「外国にすむ日本国民は不利な立場に立たされるでしょう」と、西谷氏は懸念をうかがわせる。なぜならば、外国当局が、拉致された日本人を返還したがらなくなるかもしれないからだ。

Wood氏は言う。「もしも、日本が世界のリーダーないし国連安全保障理事会の理事国候補として見なされたいと願うならば、親による奪取から子供を守るために必要な変化をなし遂げなければならない。」

2006年 共同ニュース 無断複写・複製・転載を禁ず
2006年1月6日


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 最終変更: March 19, 2007 Copyright © 2003-2006 お問い合わせ、どうぞ