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ネットいじめ、京の学校でも 匿名の中傷「友」襲う
京都新聞 「もし友達からこんなメールが来たら…」。シミュレーションで情報モラル教育を学ぶ生徒たち(京都市下京区・七条中) 全国的にインターネットや携帯電話を使った学校でのいじめが問題となる中、京都市伏見区の中学3年の男子生徒が同級生らから悪質な「ネットいじめ」を受け、学校を休んでいることが発覚した。関係機関への相談も急増しているが、仲間内だけのサイトなどを通してのやりとりだけに、表面化するのはまれだ。現状や課題を追った。 「ばか」「キモい」「死ね」…。悪口中傷が携帯の画面いっぱいに並ぶ。男子生徒が伏見区の中学への転校を前に、「友達をつくりたい」と開設したホームページ(HP)。10月の登校初日、そのことを同級生らに伝えた。間もなくHPのブログ(日記)に卑劣な言葉の書き込みが始まった。 相手も分からない腹立たしさと恐怖。メールの返信で注意すると、中傷は過激になった。HP閉鎖や金銭を求める脅迫も交じる。アドレスなどから送信相手を突き止めた。同じクラスの女子生徒ら3人だった。学校や警察への相談を機に、彼女らはようやく詫びたが、男子生徒の傷は癒えない。うつ病と診断され、休学したままだ。 教育相談などを受け付ける全国webカウンセリング協議会(東京都)では、年間約1000件に上るいじめ相談の大半にネットが絡むという。学校単位の「学校裏サイト」での書き込み、他人のメールアドレスをかたる「なりすましメール」、他人に回すよう指示する「チェーンメール」など、自分の正体を隠した陰湿な手法が目立っている。 低年齢化も進む。今年1月、京都市南区の小学6年生(当時)の女子児童は、親友だった女子同級生とささいなことで言い争ったのを機に、複数の同級生から中傷メールを受けた。それまで楽しいやりとりの場だった携帯サイトの掲示板が使われた。「てめぇなんか、同じ中学にくるな」−。卒業を前にふさぎ込む娘に母親が気づき、保護者同士が集まるなどして収まった。「文字だけの世界はいったん行き違いがあると、どんどんひどくなる。恐ろしい」と母親は振り返る。 ■教育現場、危機回避を指導 どうすればよいのか。関係者からは「携帯を持たせるべきでない」との声の一方、「現実的に無理。防犯面でも必要」という意見も多い。 京都府や府教委、府警は今年2月、「情報モラル教育」のサイトを立ち上げ、アクセスを制限する「フィルタリング機能」の設定方法や、迷惑メールの相談窓口の紹介を始めた。京都市教委も近くネットいじめを考える連絡会議を立ち上げる。 下京区の七条中では、1年生に3年生の指導内容を前倒ししてチェーンメールへの対処などを教える。「『○君って態度悪いと思わへん?』。友達からこんなメールが来たらどう返す?」。教師の問いに生徒がパソコンに一斉に返事を書き込む。村上幸一校長は「中学生のネット技術は高く、メールなどのモラルを教えるのに3年生では遅い。小学校で教えてもいい」と実感を込める。 情報モラル教育を研究してきた八幡小(八幡市)の富永直也教頭は「ネットでのいじめをなくすのは、通常のいじめをなくすのと同じく難しい。学校で教えるべきは、命の大切さと危機回避の方法」と指摘する。 深く静かに広がる「顔の見えないいじめ」。接続制限などの対処療法に加え、いじめの根を絶つ地道な対策が迫られている。全国webカウンセリング協の安川雅史理事長は「子どもが携帯電話の着信音を消したり、大人から隠れてメールをチェックするなどの変化を見逃さないで」と、親や教師らが「子どものSOS」を感じ取ることの大切さを訴えている。 ・ネットによるいじめ問題 京都府警によると、ネットによる中傷の相談は2006年度で241件、4年前の3倍近くに上り、中高生の絡む事案も目立つという。京都市教委が6月に実施した抽出調査でも、携帯電話所持率が中学3年70%、小学6年25%に達し、中学生の約1割が「人権侵害のような書き込みをしたり、されたことがある」と答えた。神戸市では今年7月、私立高の男子生徒が多数の生徒から脅迫メールを受けて飛び降り自殺。同級生らが逮捕され、大きな社会問題となった。 [続きを読む] 最終更新:11月4日12時49分 【消える「一線」】ネット犯罪2007(3)標的 学校裏サイトで中傷
産経新聞 ある学校裏サイトの画面。1人の生徒がやり玉に挙がっている(一部加工してあります)ある学校裏サイトの画面。1人の生徒がやり玉に挙がっている(一部加工してあります) 高校2年の夏休みに“事件”は起きた。 運動部の合宿に行かなかったサトシ(仮名)の元に、合宿後から迷惑メールが大量に送られてくるようになった。「アドレス変えたから」。友達に一斉送信したが、迷惑メールはやまない。夏休みが明け、親友のアキラ(同)に相談してみた。 「お前、裏サイトに載っている」。在校生が独自に開く「学校裏サイト」にアクセスした。目に飛び込んできたのは、自分の顔写真と携帯メールアドレスなどの個人情報。そして…。 「裏切り者」「意気地なし」「うざい」「学校来るな」「死ね」。中傷の言葉が並んでいた。 写真は携帯電話のカメラで盗撮されたものと理解した。合宿に行かなかったから悪口を書かれたんだ、と感じた。 中には「成績いいけど、あいつカンニングしてる」「学級委員をして、点数稼ぎ」と、部活ではなくクラスメートとしか考えられない書き込みもあった。 自分はクラスの誰とも親しく話す方だ。夏休み後から態度を変えた人もいない。だけど誰かが書き込みをしている。 「誰なんだ」。攻撃者が分からず、誰を信じていいか分からない。 裏サイトがあることは知っていた。が、まさか自分が登場するとは。しかも“ネットいじめ”の標的になるなんて。 学校に行けなくなった。チクったのがばれるのがいやで、先生には相談しなかった。 部屋に引きこもった。親にも言えなかった。ドアの前に食事が置かれるだけ。拒食症になり、見る間にやせ細った。「死にたい」と思った。 ◆◇◆ 学校裏サイトを舞台にしたいじめを警察が事件として立件するケースも出始めた。 宮城県警は男子中学生を「死ね」と中傷した同級生の女生徒を侮辱の非行事実で家裁送致。大阪府警が今春、女子中学生を中傷する書き込みを放置し続けたサイト管理者を名誉棄損幇助(ほうじょ)の疑いで書類送検した(その後不起訴処分に)。 だが、全国Webカウンセリング協議会によると、学校裏サイトの事件が報道されるようになると、裏サイトを管理する生徒は個人的なブログにサイトを移動。「学校名を付けていないことが多く、検索してもヒットせず、パスワードを設けて学校関係者や保護者ら“部外者”を締め出すようになった」(同会)と、裏サイトの潜在化が顕著になっている。 神戸の高3自殺では、逮捕少年らが学校裏サイトを開設。被害者の裸の下半身を写した動画を掲載していた。多くの生徒に知られたサイトだったが、教師らは少年らが逮捕されるまで存在を知らなかった。 ◆◇◆ その年が明けた。自室のパソコンをいじるぐらいしかやることがなかったサトシは、いじめ相談サイトを見つけた。返事など来ないだろうと思いつつ、いじめの内容をメールにつづった。 返信が来た。「いじめに負けないで」。卒業だけはしたい。「学校に行ってみよう」と思った。 半年ぶりの登校。「どうした」と、クラスの皆が心配げに声を掛けてきた。裏サイトに書き込んだやつもいるはずだ。 アキラが「大丈夫」「一緒に闘おう」と言った。恥ずかしいほどくさいせりふだけど、記号じゃない会話だ。温かいものが体に広がった。「信頼できるやつがいる」 以降、うそのようにいじめはやんだ。「いじめのターゲットも周期みたいなのがあるんだって」とアキラが言った。裏サイトで、自分以外にも標的にされていた生徒がいたのを思いだした。怖さがこみ上げた。 卒業したいま、サトシは美容師を目指し働いている。いじめの傷跡は深い。経験を打ち明けられる人しか、怖くてメールアドレスを教えられない。大学に進もうかとも思ったが、学校という世界にいたくなかった。 仕事にやりがいを感じている。お客さんとのコミュニケーションが楽しい。一方で「相手はどう感じるんだろう」とひと言ごと、じっくり考えるようになった。 「人はもろい。でも、立ち直れる。言葉って怖い。けれども、いいものだって知った」 裏サイトにサトシの中傷を書いたのが誰かは今も分からない。より潜在化した裏サイトの世界では、別の標的へのいじめが続いている。(桜井紀雄) ■■■ 【用語解説】学校裏サイト 学校が公式に立ち上げるサイトとは別に、生徒らが勝手に開設した掲示板。1万以上あるとみられ、生徒や卒業生が既製サイトや個人のブログに掲示板を立ち上げ自ら管理、匿名や仮名で学校に関する自由な話題を書き込む。サイトのアドレスを生徒同士で携帯メールで転送し合って広めるため、学校関係者や親が存在自体知らないことが多い。 |
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