Source: http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/9605kaito/index.html


第一回報告書審査 児童の権利委員会からの質問に対する回答


(質問1)

世界人権会議の宣言及び行動計画で採択された勧告に照らし、政府は児童の権利に関する条約の留保及び解釈宣言撤回の可能性につき、検討を行ったか。

(回答1)
 1993年6月に開催された世界人権会議の約1年後の1994年4月に、我が国はこの条約を批准した。その際、第37条(C)に関し留保を付し、第9条 1及び第10条1に関し解釈宣言を行った。1996年5月の本件報告書提出にあたり、政府部内において留保及び解釈宣言の見直しの可能性について検討したが、現在のところ以下の通り撤回することは考えていない。

1.我が国は、報告書パラ13のとおり、「児童の権利に関する条約第37条(c)の適用に当たり、日本国においては、自由を奪われた者に関しては、国内法上原則として20歳未満の者と20歳以上の者とを分離することとされていることにかんがみ、この規定の第2文にいう『自由を奪われたすべての児童は、成人とは分離されないことがその最善の利益であると認められない限り成人とは分離させる』に拘束されない権利を留保」している。
 我が国の少年法においては、20歳未満の者を「少年」として取り扱うこととし(少年法第2条)、自由を奪われた者は基本的に20歳未満の者と20歳以上の者を分離することとされている(同法第49条及び第56条)。これはこの条約が18歳未満の者を「児童」として手厚い保護を加えることとしているのをさらに一歩進めて、20歳未満の者までも広く保護の対象とする制度であり、「児童」という若年者をそれ以外の年長者から分離することにより有害な影響から保護するという条約第37条(C)の規定の趣旨及び目的とも合致するものである。

2.また、この条約第9条1に関し、当該規定は、締約国に対し、父母による児童の虐待又は父母の別居等の特定の場合において、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として児童の最善の利益のために必要であると決定する場合を除き、児童がその父母の意思に反して父母から分離されないことを確保するよう義務づけるものであり、児童又は父母の退去強制、抑留及び拘禁等この条約第9条4において国がとり得る措置として認められている措置により、結果的に親子の分離が生ずることを妨げるものではないと解される。
 更に、この条約第10条1に関しても、当該規定にいう「積極的」とは、出入国の申請を原則的に拒否するような消極的な取扱いを禁ずる趣旨であり、「人道的」とは、出入国に関する申請の受理から申請を通じた手続きの中で人道的配慮が必要と認める場合は、かかる配慮を行うべきものとの趣旨であり、また、「迅速」とは右手続がいたずらに遅延しないよう取扱いを適正に行うべきことを各々意味すると考えられる。よって「積極的、人道的かつ迅速な方法で取り扱う。」とは、出入国の申請の審査の結果を予断し拘束するものではないと解される。
 しかし、これらの解釈が文言上必ずしも一義的に明確ではないため、以下の解釈宣言を行っている。
 「日本国政府は、児童の権利に関する条約第9条1は、出入国管理法に基づく退去強制の結果として児童が父母から分離される場合に適用されるものではないと解釈するものであることを宣言する。
 日本国政府は、更に、児童の権利に関する条約第10条1に規定される家族の再統合を目的とする締約国への入国または締約国からの出国の申請を「積極的、人道的かつ迅速な方法」で取り扱うとの義務はそのような申請の結果に影響を与えるものではないと解釈するものであることを宣言する。」

(質問2)

報告書のパラ12に示されている情報に関し、国内法に対する本条約の位置づけについて敷衍されたい。また、本条約が裁判で取り上げられうるか否か。もし取り上げられうる場合は例を示されたい。

(回答2)

我が国の憲法第98条第2項は、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」と規定しており、我が国が締結し、公布された条約等は国内法としての効力を持つ。我が国の憲法には、我が国が締結した条約と法律との関係についての明文の規定はないが、条約が法律に優位するものと考えられている。
 なお、条約の規定を直接適用し得るか否かについては、当該規定の目的、内容及び文言等を勘案し、具体的場合に応じて判断すべきものとされている。
 法令等について児童の権利条約違反が当事者から主張された裁判例は幾つかあるが、我が国の法令等について、児童の権利条約に違反する旨の判断を示した判例はこれまでのところ無い。

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3.国内法の見直し及び国内法と児童の権利に関する条約の条項及び原則との整合性の見直しのための調査が実施されたか否かにつき示されたい。

(回答)我が国では、条約の批准に当たり、国内法との整合性を確保することとしており、本条約についても、各規定毎にそれに相当する国内法との整合性につき慎重に検討を行った。その結果、報告書のパラ12に記載してあるとおり、本条約の各規定は、第37条(c)を除いては、憲法を始めとする現行国内法によって保障されており国内法との整合性は確保されているとの結論に達した上で、本条約を批准をした(本条約の各規定を確保する国内法の規定については、報告書の各規定の実施に関する記載を参照。)。
 ただし、それは、条約の効果的履行に資する新たな立法措置を妨げるものではなく、例えば、平成9年6月に児童福祉法等の一部を改正する法律が成立したが、その起草の過程においては、本条約の規定との整合性を確保するとともに、児童の最善の利益の確保、児童の意見表明権等本条約の趣旨がより一層効果的に反映されるよう十分に考慮が払われたところである。

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4.児童問題に関わっている全ての省庁間及び地方自治体と中央政府間の活動調整のための現存するあるいは計画されているメカニズムに関する追加情報を述べられたい。

(回答)
1.報告書パラ26〜29に述べられている通り、児童に関する施策は、福祉、教育等を含め幅広い分野にわたっており、関係する行政機関は総務庁、厚生省、警察庁、検察庁、法務省、文部省、労働省、地方自治体等多数に及んでいる。そのような状況の中で、我が国では、児童を含めた青少年に関する施策が総合的かつ効果的に実施されるよう、総務庁が、青少年行政に関する基本的かつ総合的な施策の樹立、関係省庁の施策や事務の調整等を行っている。
 1989年には、青少年対策を担当する関係省庁のハイレベルの職員で構成される青少年対策推進会議が、総合的企画・調整、青少年非行対策、社会参加施策、青少年国際交流施策、調査・研究施策の5つの小委員会とともに設置された。同推進議会及び小委員会は、省庁間の連絡、情報交換、調整を推進している。例えば、同推進会議は、青少年対策推進要綱を策定し、政府全体としての基本施策を明らかにし重点事項を示している。1997年7月の最新の改訂では、「薬物乱用」「学校におけるいじめ問題」等の4つの「当面特に取り組む課題」を追加した。担当する関係省庁では、これらの諸問題に対し個々に且つ協力しつつ取り組んでいる。

2.地方との関係については、各省庁がそれぞれ所管の事項に関し、地方自治体の関係部局又は中央行政機関の下部組織等に対する指導・助言を通じて施策の推進、調整を図っているほか(例えば、児童に対する福祉施策については、厚生省より児童相談所、福祉事務所、都道府県児童福祉主管課等に対し、教育に関する施策については、文部省より、都道府県の教育委員会等に対し、人権擁護に関する施策については、法務省より各法務局、地方法務局に対し指導、助言を行う等)、必要な場合には連絡会議等を開催し、国・地方の施策の説明等国と地方相互の情報交換を行うなどして、国と地方との連携の確保に努めているところである。

3.このように、児童に関する施策については、これまでも各種施策の展開を通じて総合的かつ効果的に実施してきたところであり、現在、当該施策を調整する制度を新たに政府部内に創設する予定はないが、引き続き現行の制度の下で、関係行政機関の緊密な連絡を図りつつ、児童に関する施策を総合的に推進していく予定である。

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5.最も脆弱な集団(例えば非嫡出子、障害を持った児童、少数者集団に属する児童)を含む全ての児童の地位に関する指標が開発されたか否か、また個々のデータの収集が行われたか否かにつき述べられたい。
 また、条約の効果的な履行を目的とした政策及びプログラム策定のためのデータ収集並びにデータ及び指標の利用においてどのような困難があったか。

(回答)国、地方自治体、更には民間の研究機関等において、児童の状況に関し、毎年、多数の統計の収集及び調査・分析が積極的に行われている。
 これらの統計資料や調査・分析は、以下にあげるような統計の収集のほか青少年の生活と意識に関する包括的な調査や、いじめ、児童等に対する犯罪防止、性の商品化、青少年と電話、消費行動等のように特定の事項に焦点を当てた調査など幅広い観点から調査研究が行われている。また、児童に限らず広く国民一般を対象とする調査研究においても、調査対象の年齢別、子どもの有無等の観点から分析が行われることも少なくなく、これらも含めて児童の状況に関する統計の収集及び調査研究は極めて活発に行われていると認識している。
 各行政機関では、これらの統計や調査研究の結果を活用し、児童の実態を的確に把握し、児童に関する各種施策の立案、実施に努めており、こうした努力は、本条約を効果的な実施に役立っているものと考えている。

 統計例:
 人口動態(人口、出生率、死亡率、出生児の嫡出子・非嫡出子の割合等)、健康状況(乳児死亡率、死因別乳児死亡数、年齢別身体発育状況調査、国民栄養調査等)、安全(年齢階層別男女別不慮の事故及び有害作用による死亡者数、 年齢別男女別交通事故死傷者数)、教育(学校数、在学者数、就学率、進学率、中退者数、登校拒否児童生徒数、いじめの発生状況、態様等)、労働と雇用(年齢階層別労働力人口)、福祉(児童手当、児童扶養手当等の支給状況、養護施設等への入所者数、養護施設における養護発生理由別入所児童の構成割合、児童相談所に相談のあった児童の虐待件数等)、障害児(障害児数、障害児施設数及び入所状況、障害児の就学率、進学率、雇用率等)、アイヌの児童(北海道ウタリ生活実態調査(進学状況、差別について等)、外国人児童(外国人児童登録者数、外国籍の乳児死亡率、日本語教育が必要な外国人児童生徒の受入状況等に関する調査(母国語別外国人児童生徒数、日本語教育を必要とする外国人児童生徒の在籍状況等)等)、少年司法(刑法犯少年の罪種別・年齢別、学職別補導状況等、検察庁における少年被疑事件の受理状況、家庭裁判所の少年保護事件終局決定別構成比等)、問題行動(家出少年数、自殺少年数)

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6.児童の権利に関する条約履行のモニタリングのための中央及び地方レベルにおける、現存するあるいは計画されているメカニズムに関し、より詳細に述べられたい。

(回答)
1.本条約の実施については、多数の行政機関が関わっていることから、政府としては、関係行政機関相互間において緊密な連絡を図っているところであり(報告書パラ28参照)、今後とも、本条約の効果的実施に向けた施策を総合的に推進していく予定である。
 地方自治体においても、各都道府県の児童福祉担当部局や教育委員会等が中心となって、本条約の実施に関する施策を推進するため、関係部局で連携を図りつつ積極的に取り組んでいる。また、地方自治体の中には、関係部局で構成する児童の権利及び保護に関する研究班を設置し、児童の権利と保護の促進に向けた総合的な諸施策について調査研究を行ったり、児童行政の総合的施策を検討、策定し、計画的に取り組んでいるところもある。

2.本条約履行を実質的にモニタリングするためのメカニズムとしては、次のようなものがある。

(1)政府の人権擁護機関として、法務省に人権擁護局が、その下部機関として法務局に人権擁護部(8)、地方法務局に人権擁護課(42)がそれぞれ設けられている。
 また、法務大臣の委嘱による約1万4,000人の人権擁護委員がおり、児童の人権問題の解決に向けて積極的に取り組んできている。更に1994年には、児童の人権にかかわる問題を専門に扱う「子どもの人権専門委員」制度を導入し、児童の人権擁護をより一層積極的に推進することとした。当制度を設置した主目的の一つとして、児童が独立した権利主体として尊重されることが求められている「児童の権利に関する条約」の履行が挙げられる。
 当委員(現在の人数は約600名)は、児童の人権が侵犯されることがないように監視し、もしこれが侵犯された場合には、その救済のため法務局と連携協力し、速やかに適切な措置をとるとともに、児童の人権擁護のための啓発活動を行い、もって児童の人権擁護を図ることを任務としている。また、法務局は、適宜子どもの人権専門委員の意見を聴き、これを活動、施策に活用している。

(2)警察における少年の取扱いに関しては、警察庁において、少年警察活動要綱等の必要な準則を定めており、これらの準則は、児童の権利条約の趣旨に即したものとなっている。
 警察庁並びに各都道府県警察の警察本部及び警察署の各レベルにおいては、上記の準則に従った少年の取扱いが適正に行われるよう、部内関係部門や幹部による指導・監督が行われている。

(3)児童福祉施設は、児童の権利条約の趣旨に沿った運営が行われるべきとされているが、当施設が児童福祉施設最低基準を満たしているかを監視し、処遇の適正化を図るため、国及び都道府県が法律に基づき定期的に監査を実施している。
 また、児童相談所長が児童を児童福祉施設へ入所させる措置を採る場合であって、その措置と当該児童またはその保護者の意向が一致しないときは、都道府県知事は、児童福祉審議会の意見を聴かなければならないこととされている。

(4)この他、文部省の下部機関である教育委員会において教育研究所・教育センター等、総務庁において少年補導センター、法務省において少年鑑別所、保護観察所等の活動につき、それが児童の権利条約の趣旨に即するようにとの観点からも、それぞれ監督、指導、助言等を行っている。

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7.報告書のパラ15に述べられている情報に関し、「子どもの人権専門委員」について、特にその予算、職員、制度的結合、独立性及び効力に関する追加情報を述べられたい。

(回答)
1.「子どもの人権専門委員」の主要な活動内容は、(1)子どもの人権に関する情報の収集と整理、(2)子どもの人権侵犯事件の調査・処理及び人権相談、(3)子どもの人権を守るための啓発活動の企画・立案であり、具体的な活動として、「子どもの人権相談所」「子どもの人権110番」を設置し、子どもの人権相談に応じ、また、子ども会等との連携による座談会を実施したり、子どもの人権意識についてのアンケート調査を実施するとともに、子どもの人権が侵害されているおそれがある場合には、法務局と連携して適切に対処している。
 たとえば、「いじめ」に関する相談を受けた場合には、相談者の意向を十分に尊重しながら、問題を迅速かつ効果的に解決するため法務局職員と解決方法について協議し、学校関係者等の協力を得て事実確認を行い、事案に応じた適切な処置を講じている。

2.1998年度予算における「子どもの人権専門委員活動経費」は14,449千円が措置されており、その内訳は、子どもの人権相談所や研修会などに出席する旅費として10,975千円(1人当たり約19千円)、執務参考図書を購入するための経費として3,474千円(1人当たり約6千円)となっている。
 なお、現在、「子どもの人権専門委員」は全国に568名配置されている。

3.「子どもの人権専門委員」は、法務大臣から委嘱された民間のボランティアであり、法務局、地方法務局の人権相談所や自宅などで、一貫して中立公正な立場を堅持しつつ、積極的に活動を行っている。
同委員は人権擁護委員の中から指名されるものであるが、人権擁護委員は次のような民主的で慎重な手続により選出される。

(1)市区町村長が市区町村議会の意見を聴き、その住民の中から人格見識が高く、広く社会の実績に通じ、人権擁護について深い理解のある人を候補者として推薦する。

(2)法務大臣は、上記候補者について、さらに弁護士会及び都道府県人権擁護委員会連合会に意見を求めた上、委嘱する。

4.1996年、子どもの人権専門委員を含む人権擁護委員が取り扱った児童に関する相談件数は170,975件である。(人権相談件総数は、 610,723件)。児童の人権問題に関する相談としては、「いじめ」に関する相談が2,746件であり、この他不登校、虐待、体罰に関する相談がある。
 委員の活動実績としては、いじめの被害者の人権を擁護するため、子どもの人権専門委員が学校に対し繰り返し説諭を行い、これを受けて教職員、PTA役員、生徒がいじめ問題に真剣に取り組んだ結果、同校におけるいじめが見られなくなった例、子供を虐待していた父親に対し、委員が説得を行い、家庭裁判所が、親権者を、離婚し別居していた母親に変更した例等が挙げられる。

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8.報告書のパラ27(25?)に述べられている、政府のNGOに対する財政的支援について、国内のNGOに関し、現在どのような制度的取り決めがなされているかにつき、更なる情報提供を行われたい。

(回答)草の根レベルの開発協力活動を行うNGOは、地域社会に密着したプロジェクトをきめ細かく実施し、政府レベルで協力を行っていない国、地域等にも援助の手を差し延べることが出来る等の特徴を有し、大規模プロジェクトに重点を置くODAとの相互補完的な役割が期待できる。
 このようなNGOの果たし得る重要な役割に鑑み、政府は、1989年から「NGO事業補助金」及び「草の根無償資金協力」を導入し、NGOに対する直接支援に努めている。
 「NGO事業補助金」は、日本のNGOが開発途上国で行う開発協力活動に対し、その事業費の一部(プロジェクトの総事業費の二分の一以下)を補助するもので、一件当たりの交付額は原則として50万円以上1,500万円程度である。尚、本件についての1997年度予算は12億円(案件数約252件)で、 1989年度予算が約1億1千万円(案件数23件)であったのに比べ、約10倍となっている。
 「草の根無償資金協力」は草の根レベルの開発プロジェクトを支援する制度であり、開発途上国の地方公共団体、医療機関及び途上国において活動している NGO(国籍は問わない)が実施する比較的小規模なプロジェクトに対して協力するものである。一件当たりの援助規模は通常数十万円から一千万円程度であり、予算額は1989年度に3億円(案件数95件)であったのが、年々増加し、1997年度には50億円(案件数964件)となっている。
 両制度ともに、支援対象事業は、公募をしており、外務省が申請を受け(後者については在外公館が窓口)、申請内容を審査の上、支援対象事業が選定されることになっている。支援対象事業の選定に当たっては、保健・医療分野、基礎教育分野等児童の福祉の向上等に資するプロジェクトに対する配慮を行っているところである。

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9.裁判官、弁護士、法執行官、軍人、地方公務員を含む公務員、児童を拘禁する場所で働く職員、保健関係職員、ソーシャルワーカー等の専門家集団に対する児童の権利条約に関する研修を行うため更にどのような方法が取られたのか、あるいは計画されているかを示されたい。
これに加え、政府関係者、国会議員、NGO、マスメディア及び児童自身を含む広範囲な社会の意識を高めるためどのような方法が取られたかにつき示されたい。

(回答)

1.専門家集団については、例えば以下に述べるように、各関係機関が研修等を通じて条約の周知徹底を行っている。

(裁判官)
裁判官については、最高裁において、条約の批准に際し、通知「児童の権利に関する条約の公布及び効力の発生について」を外務省作成の条約の説明書を添えて高等裁判所、地方裁判所及び家庭裁判所にあてて発出したほか、最高裁発行の刊行物に同通知を転載し、関係者に対しても周知を図った。また、家庭内の紛争等裁判所が扱う事件を解決する過程において、児童の利益が問題となる場面は多々あるため、各種研修において、児童の権利に関連するカリキュラムが組み込まれており、その中で条約の内容についても触れられている。

(弁護士)
 弁護士及び弁護士会の指導監督等を行っている日本弁護士会連合会においては、本条約に関して精力的に活動していると承知している。弁護士については、弁護士法に基づき弁護士会の自治が認められており、政府としては、弁護士の研修は行っていないが、日本の弁護士の間では本条約は相当程度周知されているものと考えている。

(検察官)
 検察官については、その経験年数に応じて各種の研修が実施されており、その際、少年事件の取扱い及び人権問題に関する講義等を実施するなどして、条約の内容の周知を図っている。また、研修誌等によっても、条約の理解の促進を図っている。

(警察官)
 少年を取り扱う警察職員に対しては、各種教養等の機会を利用して、条約の趣旨を周知徹底させるとともに、条約に沿った適正な処遇を確保するよう教育を行っている。

(人権擁護行政に携わる職員)
 人権擁護行政に携わる公務員の研修として、法務省では、全国の法務局及び地方法務局職員に対し、本省において人権に関する専門科研修を毎年実施しており、カリキュラムの中に児童の人権に関する科目を設け、国際法の教授を当該科目の講師として招聘して、児童の権利条約に関する講義を行う他、研修員が講演者となり、児童の人権をテーマとして模擬講演等を行っている。また、全国の法務局及び地方法務局においても、人権擁護行政に携わる職員を対象として、人権実務研修を実施しており、その中で本条約を始めとする児童の人権に関する講義が行われている。この他、法務省では、地方自治体の人権啓発担当部局の職員に対し、人権啓発指導者養成研修会等を実施しており、児童の人権及び本条約についての講演を行っている。

(矯正施設の職員)
 少年の矯正施設の職員については、職場研修の際等に、少年の有する権利について説明しているほか、矯正研修所等における研修プログラムの中で、児童の権利条約を含む被収容者の処遇に関する国際準則についての研修を実施している。

(児童福祉に携わる職員)
 児童福祉に携わる職員に対しては、厚生省において、児童相談所職員研修会及び都道府県児童福祉主管課長会議等の地方公共団体職員に対する研修及び会議等を通じて条約の趣旨の周知徹底を図っている。また、保母等の児童福祉施設職員についても、全国の養護施設職員研修会等の研修を通じて条約の周知を図っている。

(自衛隊)
 防衛庁では、特に人事制度、募集・採用担当者に条約を周知しており、業務を通じて一層理解を深めている。また、自衛官の募集等を担当する地方の機関等の隊員に対しては、研修の機会に条約の周知を図っている。

2.啓発活動としては、報告書のパラ31のとおり、外務省では、ユニセフ駐日事務所と協力の上、条約の作成経緯及び全文を掲載したリーフレットを作成し、各関係省庁、地方自治体、全国の教育委員会、福祉事務所、児童相談所をはじめ、関心のある国会議員、マスコミ、NGOに対し随時配布し、条約の内容の周知を図っている。また、報告書パラ32〜34に記述の通り、児童及び一般の人々等を対象として他の関係省庁においても広報及び啓発活動を実施しているところである。

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10.児童の権利に関する条約が主要な少数者言語にて入手可能か否かにつき説明ありたい。

(回答)回答9で述べた政府がユニセフ駐日事務所と協力し作成したリーフレットには、日本語とともに英語が併記されているが、その他にこれまで作成された広報用のリーフレットは専ら日本語のみである。なお、希望があれば、その言語が母国語となっている外国の政府から、条約の当該言語による翻訳を取り寄せ提供することは可能であり、実際、地方自治体からの希望があったため、タガログ語、ポルトガル語等の翻訳は政府で入手し提供したところである。

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11.中央、地域、地方レベルにおいて、国家予算がどの程度の割合で児童の健康、教育、社会サービスのために割り当てられているか。
児童の権利のために「利用可能な資源の最大限」の配分に関する第4条の履行について追加情報を述べられたい。

(回答)
 1997年度の我が国政府の一般会計予算(国債費を除く)は60兆6,000億円であり、この8.6%を占める約5兆2180億円が青少年対策関係予算に割り当てられており、この条約に掲げられている児童の権利の実現に必要な資源が適正に配分されていると考えている。
 このうち、健康関係分野では、健康増進及びスポーツ普及振興、母子保健対策のために約239億円が、教育関係分野では、学習活動の奨励、家庭教育の振興、学校教育関連施策、青少年の職業訓練等のために約3兆4,668億円が、社会サービス分野では、保育対策、母子福祉対策、心身障害児対策、児童手当、児童福祉施設整備等のために約7,462億円がそれぞれ割り当てられている。
 尚、以上の予算額は、直接間接に児童を含む青少年の育成にかかわるものとしてまとめた予算である。また、その中には、全ての年齢者を対象としており児童に割り当てられている部分のみを抽出することが困難な予算(例えば医療関連予算、図書館等文化施設整備費用)は含まれていない。
 地方自治体の予算内訳の詳細については、政府としてその全てを承知している訳ではないが、より現場に近い地方自治体においても中央省庁における予算措置と同様、児童の権利条約第4条の趣旨に鑑み、児童のために利用可能な最大限の資源配分がなされているものと承知している。

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12.報告書作成過程について、NGOがどの程度関与したかも含め、より詳細な情報を提供されたい。

(回答)報告書は、条約の内容が多岐にわたることから、外務省が中心となって、各関係省庁と協力の上作成したものである。すなわち、条約の実施に伴う施策に関し、総務庁、防衛庁、警察庁、法務省、文部省、厚生省、労働省、郵政省等各関係省庁がそれぞれの所掌事務部分に関し作成し、外務省がそれを総合的観点から調整の上作成した。
 報告書の作成の過程においては、国内の関心あるNGOから意見のヒアリングを行い、それらの意見も適宜参考にした上で作成した。例えば、1996年3月にはNGO(約50名)と関係省庁(約15名)との会合が持たれた。

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13.報告書パラ31〜35に述べられている情報に関し、児童の権利に関する条約を大人と児童へ同様に配布するため、政府により計画されているあるいは既に取られた新たな施策を示されたい。

(回答)報告書のパラ31から35のとおり、政府では、条約の批准に際し、条約の内容を児童にもわかりやすく紹介したポスターやパンフレットを作成配布し、条約の周知を図ったところである。その後も、1997年には、法務省において、パンフレットの内容を一部改定の上、更に10万部増刷し、法務局・地方法務局が、学校等を通じて児童・保護者等に配布したところである。
 また、地方自治体においても、条約の重要なポイントを記載したカレンダーや、小学生低学年、高学年、中・高校生用等、児童の年齢と発達に応じて条約の内容をわかりやすく説明したリーフレットを、また、中には視力障害をもった児童のために点字版を作成・配布するなど、条約の啓発活動が積極的に行われている。
 政府としては、今後、引き続きパンフレットの作成、配布に努める他、広く市民に周知できるよう、テレビ・ラジオ等の放送、新聞、広報誌への掲載などマスメディアを利用した条約の広報を強化していきたいと考えている。

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14.第2条で述べられている差別を生じさせるあらゆる背景に関し、国内法により第2条の規定がどの程度担保されているかにつき示されたい。

(回答)我が国の憲法は、その第14条第1項において、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と規定している。同規定では、差別事由として、人種、信条、性別、社会的身分又は門地が掲げられているが、それらの事由は具体的例示として挙げられているものであり、差別事由はそれらに限られず、本条約第2条に掲げる事由を含めいかなる事由であれ差別されることなく、児童を含めたすべての人に対し法の下の平等を保障しているものと解されている。また、同規定は、我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶ。
 このほか、我が国では、右憲法の精神に則り、児童福祉法、教育基本法等の国内法でも、あらゆる形態の差別が禁じられている。
 これらの国内法により、本条約第2条の規定は完全に確保されている。

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15.少数者集団に属する児童及び非嫡出子に対する差別を防止し、またこれと闘うため最近何らかの手段が取られたか否かにつき示されたい。

(回答)我が国では、1997年7月、「人権教育のための国連10年」国内行動計画を公表した。同計画では、人権という普遍的文化を構築することを目的に、あらゆる場を通じて訓練・研修、広報、情報提供努力を積極的に行うことを目標とし、人権教育が人権思想の普及高揚の観点から非常に重要であるとの認識に立った人権啓発活動をより一層積極的に推進していくこととしている。特に、同計画では、アイヌの人々の人権の尊重や偏見・差別の除去を重要課題の中に含め、人権教育の推進に取り組んでいくこととしている。
 人権啓発活動の中心的存在である法務省の人権擁護機関では、児童を含めたアイヌの人々、在日韓国・朝鮮人及び非嫡出子に対する偏見・差別をなくすため、日常的な啓発活動のほか、人権週間(毎年12月10日の「人権デー」を最終日とする1週間を「人権週間」と名付け、大規模な啓発活動を行っている)、人権擁護委員の日(6月1日)などに街頭啓発、講演会などを通じて全国的な啓発活動を実施している。特に、アイヌの人々の多くが住む北海道内の法務局・地方法務局において「アイヌの人々に対する差別をなくそう」を重点目標に定めて講演会を開催するなどの啓発活動を行っている。
 なお、政府は、1997年5月に「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」を制定した。同法の下で、その目的をを達成するための各種施策が推進されることになっており、これらを通じてアイヌの人々に対する理解が一層促進されることが期待される。

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16.第2条の観点から、障害をもった児童が差別の犠牲となることを防ぐため、政府がどのような施策を既に取ったかあるいは計画しているかにつき説明されたい。

(回答)
1.法務省の人権擁護機関では、障害をもつ児童を含めた障害者に対する正しい認識を持ってもらい、差別をなくすため、積極的な啓発活動を展開している。
 また、1981年以降人権週間(12月4日〜同月10日)における強調事項の一つとして「障害者の完全参加と平等を実現しよう」を掲げ、街頭啓発、講演会、パンフレットの配布等を通じて全国的な啓発活動を実施している。

2.障害があることにより、通常の学校教育を受けることができない、あるいは普通学級での指導だけでは能力を十分に伸ばすことが困難な児童生徒については、その可能性を最大限に伸ばし、社会的な自立や参加を可能な限り実現するため、盲・聾・養護学校、小・中学校の特殊学級等において、特別な配慮の下に、より手厚い、きめ細かな教育を適切に行っている。

3.障害のある児童生徒と小・中学校の児童生徒等や地域社会の人々が活動をともにする交流教育を実施しているが、これは全ての児童生徒の豊かな人間性を育成する上で大きな教育効果が期待される。また、地域社会の人々の障害のある児童生徒とその教育に対する正しい理解と認識を促進するためにも重要な活動となっている。この他、小・中学校の教員が障害のある児童生徒に対する理解と認識を深め、適切な指導を行うための理解推進指導資料を毎年度作成し、配布している。

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17.「児童の最善の利益」(第3条)の原則が法律においてどのように反映されているか、あるいは社会福祉施設、法廷、行政府によって取られた行動につき、更なる情報提供を行われたい。また、裁判所及び/あるいは行政団体によってこの原則が実施された例を述べられたい。

(回答)
1.第3条に示されている「児童の最善の利益」は、例えば、児童福祉法に以下の通り反映されている。まず、現行の児童福祉法においては、児童福祉の理念として、
(1)児童は心身ともに健やかに育成されるべきこと
(2)児童は生活を保障され、愛護されるべきこと
が規定されており(第1条)、国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身共に健やかに育成する責任を負っている(第2条)。そして、これらは児童の福祉を保障するための原理であり、児童に関する法令の施行にあたって常に尊重されなければならないこと(第3条)とされている。
 なお、児童の最善の利益を確保するため、都道府県は家庭裁判所の承認を得て、当該児童を児童養護施設等に入所させることができること、児童相談所長は、家庭裁判所に対し、当該児童の親権者の親権を喪失させるよう請求できることとされている。

2.また、個々の処遇については、1997年6月に成立した「児童福祉法等の一部を改正する法律」により、下記のような改正がなされ、行政府が児童の最善の利益を一層考慮するよう手続が保障されている。
(1)都道府県知事が施設入所などを決定するに当たり、法律・医学等の専門家が参加する都道府県児童福祉審議会の意見を聴かなければならないこと
(2)施設入所などに際し、児童の意向を聴取すること
(3)児童の最善の利益を確保するため、保育に関する情報の提供に基づき、保護者が希望する保育所を選択できる仕組みに改めること

3.また、児童の利益が問題となる場面の多い家庭裁判所には、人間関係に関する科学的、専門的知識、技法を修めた家庭裁判所調査官が置かれており、事件の内容や必要性に応じ、その専門性を駆使した調査、関係者に対する心理的な働きかけ、調整的活動等を行っている。これに加えて、家事事件については、民間の有識者の意見を反映させ、妥当な解決を図る観点から、調停委員や参与員(いずれも民間有識者であり、前者は家事調停委員会を構成し調停を運営し、後者は家事審判に立ち会い、意見を述べる)の関与も予定されている。これらを通して具体的事件における適正妥当な解決を図っているところである。このようにして、児童の最善の利益が考慮されている。

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18.報告書パラ61〜71において述べられている情報に関し、「児童の意見の尊重」(第12条)の原則を、具体的に実施するため、政府によって取られた施策に関する追加情報を述べられたい。また、両親、専門家団体、世論が児童の参加権を奨励する必要性に対し、認識をより高めることを目的としたどのような施策が取られたか。

(回答)
1.法務省の人権擁護機関では、児童の権利条約第12条に規定する意見表明権を条約の最も重要な要素の一つと認識しており、啓発冊子等で条約を説明する場合においても、必ず意見表明権について述べるように留意している。今後においても意見表明権に基づく「児童の参加」という概念については、パンフレット・リーフレット等の作成・配布、講演会・座談会などの開催、各種イベントへの参加、テレビ・ラジオ等による放送、新聞・広報紙への掲載など、あるいは児童の人権を始めとする人権問題に関する研修会等の様々な機会を通じて、国民及び人権擁護関係職員等に対し啓発を行っていく予定である。

2.例えば、学校において児童に対し懲戒処分を行う際には、当該児童から事情や意見をよく聞く機会を持つよう配慮するよう、1994年に教育関係機関に通知したことは報告書パラ69に述べた通りであるが、その後も様々な機会を通じて同趣旨の徹底を図ってきている。

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19.報告書パラ69に述べられている情報に関し、第12条の実施に関連し、政府より教育関係機関に送付された、懲戒処分に関する通知が及ぼした具体的な効果についての最新の情報を述べられたい。

(回答)通知の及ぼした具体的効果については現在までのところ追跡調査を行っていないが、政府としては右通知が関係者に与えた効果は大きいものと認識している。政府は、その後も様々な機会を通じて繰り返し教育機関に対し条約第12条を尊重すべく十分注意を払うよう勧告してきたところであり、今後も右を継続する予定である。

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20.出生及び国籍に関し、非嫡出児の権利につき述べられたい。

(回答)
1.嫡出でない子の出生登録については、母が出生の届出義務を負うのが原則であり(戸籍法第52条第2項)、この届出に基づいて、母の戸籍に記載される(同法第18条2項)。

2.国籍については、我が国の国籍法は、出生による国籍取得につき、「出生の時に父又は母が日本国民であるとき」には、出生により日本国籍を取得すると規定し、法律上の親子関係が認められる限り、嫡出子、嫡出でない子に関わらず、日本国籍を取得するものとしている。
 同法の父については、その明確性及び法的安定性を図るため、法律上の父をいうと解されている。子の出生時に法律上の父がある場合としては、両親が婚姻中である場合や胎児認知がなされた場合である。
 婚姻していない日本人男性と外国人女性との間に出生した子については、父の本国法たる我が国では、原則として、胎児認知(民法第779条、第783条)がなければ出生の時に法律上の父がいないことになり、法律上の父子関係が生じないので、子は日本国籍を取得しない。子の出生後に認知があったときは、子の出生時に遡って父子関係が生ずるものとされているが(民法784条)、国籍法との関係では、出生後の認知により、子が出生の時に遡って日本国籍を取得することはないとされている。
 この場合に、国籍法の適用の関係でも認知の遡及効を認めることは父又は子の意思に基づかないで、出生後の認知により当然に国籍の変動を生じさせることとなり、「個人の尊厳」を立法の基本原則とする憲法第24条2項の精神に合致しないことになる。旧国籍法(明治32年法律第66号(No.66of1900))は、日本国民たる父の認知を独立の国籍取得の原因としていたが(第5条3項)、上記の理由から現行国籍法制定の際、旧国籍法の同規定が継承されなかったものである。
 以上のように、同じく血統上の日本国民であっても、出生時における法律上の親子関係の有無等により国籍取得の要件が異なることは、血統という単なる生物学的要素を絶対視せず、憲法第24条の精神に立脚し、親子関係により我が国との間で真実の結合が生じる場合に国籍を付与するとの基本的考えに基づくものである。
 また、胎児認知を受けずにその出生により日本国籍を取得できなかった嫡出でない子は、日本人父からの認知及び父母の婚姻によって、準正子たる身分を取得し、法務大臣への届出によって日本の国籍を取得することができる(現行国籍法第3条)。さらに、日本人父から認知を受けている子については、父母が婚姻していない場合であっても、日本人父との身分関係を考慮し、極めて緩和した条件で帰化により日本国籍を取得することができる(同法第8条)。

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21.報告書パラ84に述べられている情報に関し、学校が校則(制定)においてどのように第13、14、15、16条の規定を考慮したかにつき示されたい。

(回答)
1.指摘の条約条文は、児童の表現の自由、思想・良心・宗教の自由、生活・通信等の不法干渉等の禁止を規定しているが、これらの権利については、既に日本国憲法の規定により、我が国の児童生徒に保障されているものである。
2.学校は、憲法、国際人権規約に反しない範囲で、その教育目的を達成するために自らの責任と判断により一定のきまり(=校則)を定めることができる。
3.校則は、瑣末な事項や形式にとらわれることなく、児童生徒の基本的人権に十分配慮し、一人一人を大切にした教育指導・学校運営が行われるよう、児童生徒の実態、地域の実情等を踏まえ、学校が適切に定めている。

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22.児童を、暴力、ポルノグラフィーを含む如何なる種類の有害な情報からも確実に保護するため政府が最近どのような施策をとったかにつき説明ありたい。

(回答)
1.関係省庁のハイレベルの職員で構成する青少年対策推進会議においては、1998年3月、非行対策のために有害環境の根絶と関係機関の連携を中心として「凶悪・粗暴な非行等問題行動の対策について(中間整理)」を取りまとめるとともに、正式にメディア産業に対し、メディアを通じる性表現、暴力・残虐表現について自主規制の一層の充実を行うよう要請したところである。また、報告書に記載した施策を引き続き実施するとともに、警察において、いわゆる青少年保護育成条例により有害図書類として指定されている図書、ビデオ等について、青少年への販売等の条例に違反する行為の取締りを行っている。この他、風営適正化法により、アダルトショップ、ストリップ劇場等の性を売り物とする営業の営業所へ年少者を立ち入らせること等が禁止されていることから、同法の厳正な運用に努めている。
2.(1)さらに、近年、インターネット上の年少者への有害な情報等に関する対処が求められている中、警察庁では、1997年7月から学識経験者等を構成員とする「時代の変化に対応した風俗行政の在り方に関する研究会」を開催した。ここでは、インターネット上で年少者に有害なポルノ映像を送信する営業等、風俗関連営業と同様に性を売り物とする無店舗型の営業に対する対応の在り方について、風俗関連営業に対する現行の風営適正化法による規制を参考として、早急に必要な対策を講ずるべきであるとする提言書が提出された。そこで、政府は、この提言等を踏まえ、1998年3月に、コンピュータ・ネットワーク上で、専ら、性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業等、性を売り物にする無店舗型の営業に対する規制を新設する風営適正化法の一部を改正する法律案を国会に提出した。同法案は、参議院本会議で1998年4月10日に可決され、衆議院本会議においても4月30日に可決され、成立した。
(2)また、1996年2月電子ネットワーク協議会による「電子ネットワーク運営における倫理綱領」及び「パソコン通信を利用する方へのルール&マナー集」の作成に加え(報告書参照)、郵政省が1996年12月に取りまとめた研究会の報告書を受け、1998年2月にインターネットプロバイダー等が構成するテレコムサービス協会が「インターネット接続サービス等に係る事業者の対応に関するガイドライン」を作成した。このガイドラインには、児童へのIDの発行には保護者の同意を求めること、有害な情報から児童を保護するため児童が成人向けの情報にアクセスできない仕組みの構築につとめること等が盛り込まれている。また、ユーザーが自ら行う設定でインターネットの情報を選別(フィルタリング)して受信できるようにフィルタリング技術についての研究・開発が進められている。
(3)有害情報への対策の必要性や関係業界の取組み等を踏まえ、警察庁及び郵政省においても、コンピューターネットワーク上の児童に有害な情報への対応のあり方について調査委員会を開催し検討を行ったり、キーワードマッチングにより違法又は有害情報を自動的に抽出する技術や、様々なコミュニティに分散して存在する格付け情報を連携させ、有効に活用する技術の開発に取り組んでいるところである。

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23.児童虐待の発生に関する情報につき述べられたい。児童虐待防止のため、また虐待された児童の治療、心理的回復、社会的再統合のため、中央及び地方レベルにおいて特定のプログラムの開発が行われたか。また、この目的のため、いかなる資源が割り当てられたか。
児童が家庭、学校あるいは他の施設において虐待されることを防ぐためどのような特定の法的規定が存在するか。このような虐待に対し、児童自らが利用できる告訴手続が存在するか。児童虐待事件がこれまでに国レベルの裁判所で争われたことがあるか。

(回答)
1.児童虐待を防止するため、虐待とは何か、虐待の目安、発見した場合の対応方法について分かりやすく示した「子ども虐待の防止の手引き」を厚生省において作成し、保健所、警察署などの関係機関に配布している。

2.法務省の人権擁護機関は、被害にあった児童等からの「申告」、新聞・雑誌からの「情報」を端緒として人権侵犯事件として調査を開始し、その調査結果に基づいて、虐待を行った者に対して、子どもを独立した人格として尊重するよう啓発を行い、再び虐待を繰り返さないよう説諭(説示)しており、説諭しても虐待が止まないときは、児童相談所に通報し、一時保護等の適切な措置を講じるよう要請している。
 なお、地域に密着した人権擁護委員の中から指名された「子どもの人権専門委員」は「子どもの人権相談所」、「子どもの人権110番」を開設し、法務局と連携の上、子どもの人権問題全般の解決に取り組んでいる。

3.児童福祉法により、保護者に監護させることが不適当と認める児童を発見した者には、児童相談所や福祉事務所への通告義務が課されている。
 児童相談所では必要に応じ、親を指導したり、児童を施設に入所させることになっているが、保護者に児童を監護させることが著しく児童の福祉を害する場合であって、保護者の同意を得られない場合には、家庭裁判所の承認を得て乳児院、児童養護施設、情緒障害児短期治療施設等への入所、里親委託等の措置をとることが法律上認められている。また、児童本人からも相談を受けている。
 子どもを虐待していると思われる親がいる場合には、児童相談所は調査を行うことができ、必要に応じ立入調査を行うことも可能である。
 現在、虐待する親に対する指導は、一般的な行政指導として行うことも、行政処分として行うことも法律上可能である。虐待を受けた児童に対しては、児童相談所での専門職員による調査・判定、これに基づく施設入所の措置あるいは心理療法やケースワーク等による在宅指導を行っているところである。
(1996年度、児童相談所における児童虐待に関する相談処理件数は4,102件となっている。)
 また、警察では、少年相談などを通じ、虐待を受けた少年を発見した場合、虐待行為が犯罪に該当する場合は刑事事件として取り扱うほか、必要に応じて保護者に対して指導・助言を行ったり、児童相談所へ通告し、児童相談所長の委託を受けて一時保護を加えるなど、関係機関と連携を図りながら、虐待を受けた少年に対する適切な保護に努めている。

4.刑事訴訟法230条は、「犯罪により害を被った者は告訴をすることができる。」と規定しており、虐待の被害者である児童についても、告訴の訴訟能力を有すると認められる場合には告訴をすることができる。
 ちなみに、判例は、強姦の被害者が告訴当時13歳11ヶ月であった事例につき、告訴の訴訟能力を有すると認めている。(1957年、最高裁)
(また、刑事訴訟法231条1項は、「被害者の法定代理人は、独立して告訴することができる。」と規定しており、虐待の被害者である児童の親権者等も独立して告訴することができる。)
 児童虐待に関する判例としては、情緒障害児等の治療を目的とするヨット訓練において指導員が訓練生に加えた体罰を違法とした例(1994年7月、名古屋地裁)等がある。

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24.第37条(a)の観点から、児童に対する拷問その他の残酷な、非人間的なあるいは下劣な扱い又は処罰を防止し、禁止するための計画されたあるいは既にとられた法的な又はその他の施策に関する情報を述べられたい。
また、この観点から、39条の規定履行のために割り当てられた資源について示されたい。

(回答)
1.憲法13条は「すべての国民は個人として尊重され、生命、自由及び幸福追求に対する国民の福祉については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」としており、同法36条は「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁止する」とし、また同法38条1項は「何人も自己に不利益な供述を強要されない」と定めている。この憲法の下にあって、刑法は、公務員職権濫用(193条)、特別公務員職権濫用(194 条)、特別公務員暴行陵虐(195条)等の罪を定め、裁判、検察、警察、行刑等の職員が、刑事被告人、法令により拘禁されている者に対し暴行、陵虐行為を行うことを刑罰をもって禁止しているとともに、公務員が他人に義務のないことをさせたり、また権利を妨害することを処罰することとしているほか、被収容者に対して違法な有形力を行使する事案が惹起されることがあれば、それらの事案に対しては、国家公務員法及び地方公務員法に基づく懲戒処分等に付されることとなる。
 刑事手続においては、憲法38条2項は「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く勾留若しくは拘禁された後の自白はこれを証拠とすることができない」とし、また刑事訴訟法319条1項は「強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑いのある自白は、これを証拠とすることができない」として、任意性に疑いのある自白を排除し、このような行為が行われることのないように証拠法の面からも保障している。
2.なお、少年審判手続についてみると、刑法の公務員職権濫用罪(193条)の主体には、家庭裁判所の調査官などが含まれ、特別公務員職権濫用罪(194 条)及び特別公務員暴行陵虐罪(195条)の主体には家庭裁判所の裁判官が含まれる。また非行事実の認定に当たっては任意性に疑いのある自白は排除される。
 捜査機関における取調べに当たっては、常に任意性の確保に努めつつ、関係法令に従った適正手続きにより、事案の真相、真実の発見に努めている。特に、少年については、少年の年齢、性格、経歴等を勘案し、少年の特性や心情に配慮した取調べを行っている。
 このように、憲法の精神は少年審判手続にも及んでいると解されるので、我が国においては、いかなる児童も拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けないように保障されている。
3.この他、「子どもの人権専門委員」が、「子どもの人権相談所」、「子どもの人権110番」を開設して児童の人権相談に応じているが、ここで児童が非人道的な扱いを受け、その人権が侵害されているおそれがあると認める場合には、法務局と連携・協力して適切な措置を講じている。(「子どもの人権専門委員」の予算等に関する詳細な情報については設問7の回答参照)。

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25.特に家庭、矯正施設等において、体罰の法的禁止が完全に尊重されているか否かを示されたい。

(回答)
1.家庭
 我が国では、親権者には親権に服する子を監護教育する権利及び義務があり、子の監護教育の目的のため必要な範囲内で懲戒をすることが認められている(民法第822条)。しかし、ここでいう懲戒権の行使は社会通念上相当な範囲を超えるものであってならない。特に人身の自由は基本的人権の一つとして憲法の保障するところであり、本条約の趣旨に照らしても、児童の最善の利益を尊重する態度が必要である。以上の点から、法務省の人権擁護機関では、懲戒の方法・程度が社会通念上相当な範囲を超える、いわゆる体罰に当たるものは決して許されないものと認識し、体罰を受けた児童が法務省の人権擁護機関に被害救済を求めることができる制度を設けている。例えば、被害にあった児童等からの「申告」、新聞・雑誌からの「情報」を端緒として人権侵犯事件として調査を開始し、その調査結果に基づいて、虐待を行った者に対して、子どもを独立した人格として尊重するよう啓発を行い、再び虐待を繰り返さないよう説諭(説示)しており、説諭しても虐待が止まないときは、児童相談所に通報し、一時保護等の適切な措置を講じるよう要請している。
 なお、地域に密着した人権擁護委員の中から指名された「子どもの人権専門委員」は「子どもの人権相談所」、「子どもの人権110番」を開設し、法務局と連携の上、子どもの人権問題全般の解決に取り組んでいる。

2.矯正施設
 我が国の矯正施設において、少年に対する体罰は、公務員による拷問及び残虐な刑罰を禁ずる日本国憲法第36条の規定、公務員が職務を執行する上で法令に従うことを義務づける国家公務員法第98条第1項の規定、さらに、公務員の暴行陵虐行為を罰する刑法第195条の規定等に違反するものである。従って、少年の処遇に当たる矯正職員は、これらの規定を誠実に遵守して職務を執行している。仮に、矯正職員が被収容少年に対して違法な有形力を行使する事案が惹起されることがあれば、その矯正職員は国家公務員法に基づく懲戒処分等に付され(国家公務員法第82条)、場合によっては、当該矯正職員は刑法第195条により処罰されることとなる。
 なお、体罰等少年に対する残虐かつ非人道的な取扱いを行うことがないよう、各矯正施設、矯正職員の研修専門機関である矯正研修所及びその支所において職員に研修等を行っており、常日頃から職員の注意の喚起に努めている。

3.児童福祉施設
 我が国では、児童福祉法の規定に基づき、保護者のない児童等を入所させ、これを養護し、あわせてその自立を支援する児童養護施設をはじめ各種の児童福祉施設が設置されている。同施設内における体罰等については、児童の権利を擁護するため、児童福祉法に基づく児童福祉施設最低基準に新たに懲戒に係る権限の濫用禁止に関する規定を設けたところであり(1998年4月1日施行)、施設長がこの最低基準に違反し、懲戒に係る権限を濫用した場合には、厚生大臣又は都道府県知事は、改善命令又は事業停止命令を行うことができることとされている(児童福祉法第46条)。
 また、児童福祉法上、施設が児童福祉法等に違反したときは、都道府県知事は当該施設の認可を取り消すこともできることとされている(同法第58条)。
 なお、仮に施設職員による体罰があった場合に、それが刑法上の暴行罪や傷害罪等の構成要件に該当するときは、当然、刑法に規定された処罰の対象となる。

4.学校
 学校における体罰については、学校教育法第11条において厳に禁止されているところであり、また、児童に対する懲戒を行う際には教育上必要な配慮をしなければならないとされている(同法施行規則第13条)。仮に、このような法令に反した違法な懲戒が行われた場合には、校長又は教員が公務員法上の懲戒処分を受けることがあり(国家公務員法第82条、地方公務員法第29条)、体罰の態様が刑法上の暴行罪や傷害罪等の構成要件に該当するときは、当然、刑法に規定された処罰の対象となる。更に、体罰により児童が身体的、精神的苦痛を受けた場合は、民事上の損害賠償請求の手段もとりうる。
 また、文部省は、教師向けの生徒指導資料において児童に対する懲戒を行う際の留意点について示し、「生徒に懲戒権の措置をとる場合には、問題の背景など生徒の個々の事情にも十分留意し、当該措置が単なる制裁にとどまることなく真に教育的効果をもつものとなるよう配慮する」旨指導するなど、学校における懲戒が適切に行われるよう努めている。

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26.報告書パラ117に述べられている情報に関し、父親の家庭教育への参加奨励についての達成度及び残っている障害について示されたい。

(回答)
1.子どもにとって、家庭は初めて教育の行われる場であり,心身共に健やかな子どもを育てる上で、親の果たす役割は非常に重要である。

2.しかし、我が国では、都市化、少子化などの進展に伴い家庭の教育力の低下が指摘されているにもかかわらず、父親が子どもと一緒に過ごす時間や子育てを分担する割合が他の先進国に比して少ないとの調査結果が出されている。また、1996年7月にとりまとめられた中央教育審議会答申でも、ともすれば家庭教育は母親に責任がゆだねられがちで、父親の存在感が希薄であることが指摘されており、父親の家庭教育に対する責任の自覚が求められている。

3.このため、文部省では、家庭教育支援施策の一環として、父親の家庭教育参加の支援及び促進を図るため、職場内での父親のための家庭教育講座や「父親」をテーマにしたフォーラムの開催などを推進し、両親がともに責任をもって子どもの教育に当たることの大切さを啓発しているところである。

4.さらに、経済団体との懇談会等の機会を通じて、企業においても残業を少なくしたり、休暇を取得しやすくしたり、単身赴任をできるだけなくすなど、働く父親が家庭教育を担う親としての責任を自覚し、家庭で子どもと十分ふれあいをもてるよう配慮することを要請したところであるが、今後さらに父親の家庭教育への参加を支援・促進するための施策を推進する予定である。

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27.報告書パラ143〜145に述べられている情報に関し、「普通養子」と「特別養子」の相違につきより詳しく説明されたい。「特別養子」は、請求時に児童が6歳以上の場合でも行われうるか。

(回答)
1.普通養子と特別養子の効果の差異には、主として2つのものがある。
(1)普通養子では、養子は養方と実方との間に親族関係を持つこととなるが、特別養子では、養子は養方のみとの間に親族関係を持つこととなる。すなわち、普通養子では、縁組によって、養子と養親及びその血族との間に親族関係が成立するが、養子と実親及びその血族との間の親族関係も終了しない。これに対し、特別養子では、縁組によって、養子と養親及びその血族との間に親族関係が成立するとともに、養子とその血族との間の親族関係は終了する。
(2)特別養子では、離縁が限られた範囲でしか認められていないが、普通養子では、離縁がより広い範囲で認められる。すなわち、特別養子では、当事者は協議による離縁をすることができず、裁判による離縁も、養子と実方親族や検察官のみが請求することができる(養親からは請求することができない)のに対し、普通養子では、当事者は協議による離縁をすることができ、また、裁判による離縁は、いずれの当事者からも請求することができる。

2.特別養子縁組は、家庭裁判所の審判により成立する(民法第817条の2)が、その申立時に子が6歳未満であることを要するのが原則である(民法第817条の5本文)。もっとも、請求の時点で子が6歳以上であっても、その時点で子が8歳未満であって、かつ、6歳未満の時から引き続き養親となるべき者に監護されている場合には、家庭裁判所は、特別養子縁組の審判をすることができる(同条ただし書)。

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28.21条に規定されている国際的養子縁組において児童の権利を保護するための現行の国内法の枠組みについて更なる情報提供を行われたい。
 また、政府は「国家間養子縁組に関する子の保護及び協力に関する条約」の締結を検討しているか否かにつき示されたい。

(回答)
1.先に提出した政府報告書パラ146−148に記載があるように、日本の国際私法上(法例第20条第1項)、外国人が日本人を養子にする場合は、養子縁組の実質的成立要件について養親の本国法が準拠法となるが、日本法上の養子保護のための要件をも満たす必要があり、国内養子縁組の場合と同等の保護及び基準が確保されている。日本人が外国人を養子とする場合は、実質的成立要件について日本法が準拠法となり、国内養子縁組の場合と同等の保護及び基準が確保されている(加えて外国人養子の本国法による養子保護のための要件をも満たす必要がある)。

2.尚、「国家間養子縁組に関する子の保護及び協力に関する条約」については、特別養子縁組の場合の受入国及び承認国での効果が不明確であること、承認されるべき養子縁組の管轄権や準拠法について何ら規定を置いていないこと等の問題点があると考えており、現時点では締結する考えはない。

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29.報告書パラ154に述べられている、日本における児童虐待増加についての情報に関し、この現象を防止し、減少させるため計画されているあるいは確立されたプロジェクトについての情報を述べられたい。
 家庭の内外での性的虐待発生に関し、もし総合的な研究が実施されていれば示されたい。これに加え、児童の性的虐待防止及び被害児童の治療やリハビリテーションのため、広報キャンペーン等、実施されたあるいは計画された施策を示されたい。

(回答)
1.児童虐待への対応については、現行の児童福祉法においても、通告義務、立入調査、一時保護、家庭裁判所への審判申立など所要の規定が設けられているが、その運用に改善の余地がある現状に鑑み、児童相談所や児童福祉施設等に対し、法の解釈・運用に当たっての留意点に関し通知を発出したところである(1997年6月20日)。
 通知においては、要保護児童発見者の通告義務が国民一般に課された義務であるとともに、特に児童福祉に関係の深い職にある者(医師、看護婦、保母、民生・児童委員、警察官等)に対しては強く履行義務が要請されている旨、周知徹底を図っている。
 また、児童虐待の早期発見・早期対応を図るため、関係機関との緊密な連携の下相談援助活動を展開するよう、児童相談所運営指針や研修等を通じて児童相談所を指導しているところである。

2.特に児童の性的虐待のみをテーマとした研究は行っていないが、家庭内の児童虐待に関する研究については、1995年度、厚生省による心身障害研究において、「親子のこころの諸問題に関する研究」を行ったところであり、家庭に帰った被虐待児の予後調査によると、親による子どもへの虐待の再発が多くみられ、虐待を受けた子どものこころの治療が困難であることが示された。また、1996年度には「効果的な親子のメンタルケアに関する研究」が行われ、その結論として、(1)虐待ハイリスクをもつ家庭の支援は訪問活動が中心であり、リスクの情報は、健診・相談事業・他機関の依頼等で把握し、総合的な支援(頻回訪問、カウンセリング、保育所の紹介、育児の協力支援と指導、家庭問題の調整、経済的困難の行政援助など)を行う、(2)子どもの生命危機の前に子どもの保護・親子を分離(児童相談所と連携して)を進める等が示された。更に、1997年度には、家庭内での虐待に起因した児童のトラウマに対するトリートメント技法等を確立するために、「被虐待児童等のトリートメントの在り方に関する研究」を実施したところである。

3.特に性的虐待のみのものではないが、虐待とは何か、虐待発見の目安、発見した場合の対応方法等について分かりやすく示した「子ども虐待防止の手引き」を作成し、福祉、教育関係者等に配布するなど児童虐待防止の啓発を行っている。

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30.エイズに感染した児童の状況及び彼らを支援するために取られた施策に関する総合的な情報を提供されたい。また、青少年の間でのエイズの流行を予防するため、政府によって取られた広報キャンペーン等の施策を示されたい。

(回答)
1.1997年8月末現在、10歳未満のエイズ患者・HIV感染者は28名(男性14名、女性14名)、10〜19歳の患者・感染者は97名(男性7名、女性90名)である(血液凝固因子製剤による患者・感染者を除く)。集計における年齢区分のため、「18歳未満」の数は示せない。

2.我が国では、18歳未満の児童を含めたエイズ患者・HIV感染者を支援するために、医療体制の充実として、エイズ治療のための個室病室等の整備、エイズ拠点病院に対する医療機器の整備等を、また、相談・指導体制等の整備として、保健所の個室相談室の整備、ボランティア指導者の育成等の施策を推進している。

3.また、我が国の社会においては、今なおエイズに対する正しい知識と理解が十分に普及している状態にはないため、エイズまん延防止と患者・感染者に対する差別・偏見の解消を図ることを目的として、厚生省では、12月1日の「世界エイズデー」にキャンペーンを行っており(1997年のテーマは「子供たちの未来のために!今、エイズを考えよう。」)、これらを通じ、エイズ患者・HIV感染者に関する正しい知識等の啓発普及活動を推進している。
 また、文部省でも、児童生徒の発達段階に応じて正しい知識を身に付けさせることにより、エイズを予防する能力や態度を育てると共に、エイズ患者・HIV 感染者に対する偏見や差別を除き、人間尊重の精神を育てるために、小・中・高校生用エイズ教育教材(ポスター、パンフレット等)の作成や教職員に対するエイズ教育研修会の開催等の施策を推進している。
 更に、法務省の人権擁護機関でも、児童を含むエイズ感染者・HIV感染者に対する差別・偏見を解消するために、講演会・座談会・シンポジウム等の開催や各種イベントへの参加などの機会に各種啓発活動を行っている。

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31.第24条f.に述べられているような、家族計画教育やサービスを青少年に提供するため政府によって取られたあるいは計画されている施策を示されたい。

(回答)
 思春期の青少年等に対する家族計画教育・サービス提供のために、以下の事業及び教育が行われてきている。

1.健全母性育成事業
(1)目的
 思春期における問題及び対応が将来の結婚生活や健康に重大な影響を与えることに鑑み、思春期の男女を対象として、思春期に特有の医学的問題等の相談に応じるとともに、母性保健知識の普及を行うことにより母性の健康保持増進に資することを目的とする。
(2)事業内容
(イ)個別相談
 思春期に特有の医学的問題(過食と拒食、内分泌・自立神経失調)及び性に関する不安及び悩み等について、専門教育を受けた医師、保健婦、助産婦が市町村保健センター、母子健康センターなどにおいて、定期的に個々のケースに応じた相談を行う。
(ロ)集団指導(講習会等の方法により行う。)
(a)思春期における自我の確立
(b)身体発育や性機能の発達
(c)人工妊娠中絶の身体に及ぼす影響
(d)避妊方法等に関わる正しい知識の普及及び健康的で豊かな人間性と社会性を持った性意識、性行動を身につけるような指導
(3)実施主体は市町村。

2.思春期における保健・福祉体験学習事業
(1)目的
 思春期の男女に、乳幼児と触れ合う機会を提供し、父性や母性の涵養を図るとともに、生命の尊厳や性に関する教育を行うことにより、児童の健全な育成に資する。
(2)事業内容
 乳児院や保育所等児童福祉施設又は健康診査の場等において、思春期の児童と乳幼児のふれあい体験学習を行う。
 乳幼児のふれあい体験学習を行う機会を利用して性教育等の講義や福祉施設の見学などを行う。
(3)実施主体は市町村。

3.母子保健相談指導事業
(1)目的
 母子保健施策を効果的に推進するためには、保健所と市町村がそれぞれの役割にふさわしい事業を実施し、有機的な連携のもとにきめ細やかな母子保健サービスを展開していく必要があるため、地域住民の生活の場に密着した市町村において、市町村母子保健事業の基本となる母子保健相談指導事業を実施する。
(2)事業内容
(イ)集団指導
 講習会等の方法により婚前学級、新婚学級、両(母)親学級、育児学級等を開催する。
(ロ)個別指導
妊産婦や乳幼児の保護者に対し、個々のケースに応じた相談指導を行う。
(a)思春期の保健に関すること
(b)妊娠、分娩、産褥に関すること
(c)妊産婦、乳幼児の健康、栄養に関すること
(d)育児に関すること
(e)家族計画に関すること
(f)その他保健衛生に関すること
(3)実施主体は市町村。

4.学校教育
 学校教育においては、人間尊重の精神を基盤として、児童生徒の発達段階に応じて性に関する科学的知識を教えるとともに、児童生徒が健全な異性観をもち、これに基づいた望ましい行動がとれるよう指導しているところであり、例えば、高等学校教科「保健体育」科目の「保健」においては、思春期と性、家族計画等について教えている。

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32.23条の観点から、障害を持った児童を可能な限り社会に統合し、個人の発達をはかるため、政府によって取られた施策を示されたい。

(回答)
1.障害児関連福祉施策
 障害を持つ児童に対する施設福祉施策としては、精神薄弱児施設、精神薄弱児通園施設、自閉症児施設、盲ろうあ児施設、難聴幼児通園施設、肢体不自由児施設、肢体不自由児通園施設、重症心身障害児施設等により、個々の障害児に応じ、介護サービスとともに、個人としての成長及び社会的自立を促進するための指導が行われており、国はこうした施設に対し、施設整備及び運営費の助成を行っている。
 また、在宅の障害児に対しては、通園の方法により障害児に対し日常生活における基本的動作等の指導を行うデイサービス事業や、障害児施設職員等の障害児療育の専門家が障害児の家庭を訪問するなどして障害児の療育相談に応ずる事業、障害児を短期間障害児施設に預かり必要な療育指導を行う事業などがあり、こうした事業に対し、国は運営費の助成を行っている。

2.障害児教育
(1)国全体の長期的障害者施策を示した「新長期計画(1993年度ー2002年度)」及び「障害者プラン〜ノーマライゼーション7か年戦略〜(1995年度ー2002年度」において、盲・聾・養護学校や特殊学級における教育が、障害児の社会的自立に向けた基盤作りとして行われている。
(2)障害があることにより、通常の学校教育を受けることができない、あるいはその指導だけでは能力を十分に伸ばすことが困難な児童生徒については、その可能性を最大限に伸ばし、社会的な自立や参加を可能な限り実現するため、障害の種類・程度に応じた対応をしている。即ち、障害の程度の重い児童生徒については盲・聾・養護学校において、障害の程度が比較的軽い児童生徒については小・中学校の特殊学級において、障害に応じた教育課程、少人数の学級編制、専門性のある教職員、障害に配慮した施設設備等により適切な教育を行っているところである。
 義務教育段階である盲・聾・養護学校の小・中学部については、障害の状態が重度であったり複合していることから通学が困難なものに対しては、教員を派遣して指導を行う訪問教育を実施してきているところである。1997年5月1日現在、訪問教育を受けている児童生徒数は、小学部1,815人、中学部 1,069人である。
 義務教育段階でない盲・聾・養護学校の高等部における訪問教育については、1997年4月より試行的に実施しており、32都道府県において164人が指導を受けているところである。
(3)また、障害児と小・中学生や地域社会の人々が活動を共にする交流教育も行われており、障害のある児童生徒の経験を広めるとともに、他の児童生徒や社会全体が障害のある児童生徒への理解と認識を深める上で大切であることから、その推進を図っているところである。

3.障害児関連雇用・職業訓練
 障害者の雇用の促進等に関する法律、職業能力開発促進法等に基づき、公共職業安定所、障害者職業センター、公共職業能力開発施設等において、必要な調整を行った上で就業を希望するすべての障害者に対して職業指導、職業紹介、職業訓練等を実施しているところである。

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33.特に麻薬、アルコールの濫用及び自殺のような、新しく生じている健康に関する問題についての情報を提供ありたい。これらの現象を予防し、減少させるため、どのような施策やプログラムが採用されたか。

(回答)
1.薬物乱用
 1997年に覚せい剤事犯で補導した犯罪少年は1,596人、大麻事犯で補導した犯罪少年は103人、シンナー等有機溶剤の乱用で補導した犯罪少年は 4,157人で、シンナー等有機溶剤の乱用は減少傾向にあるが、覚せい剤の乱用が増加傾向にある。覚せい剤事犯で補導した犯罪少年のうち、特に中・高校生の数の増加が目立っており、1997年の補導人員は262人で、1996年から2年連続して過去最悪を記録した。
 このため、警察では、薬物乱用少年の早期発見補導と薬物の供給源となっている密売事犯の取り締まりを徹底するほか、少年に薬物乱用の危険性・有害性についての正しい認識を持たせるため、警察職員を学校に派遣して、薬物乱用防止教室を積極的に開催するとともに、パンフレット・テレビ等の各種媒体を活用した広報に努めている。
 更に、薬物の再乱用防止対策をより効果的に実施するため、モデル県を指定し、エリアを設けて、警察、児童相談所、医療機関、保健所、教育委員会等関係機関の実務担当者からなる薬物乱用防止活動支援チームを結成し、それぞれの機関・団体が持つノウハウを活用しながら、個別の薬物乱用少年に対するフォローアップ、薬物乱用防止教室等への講師の派遣、指導者に対する研修会の開催等の活動を行うフォローアップ・モデル事業を実施している。
 厚生省では、青少年の薬物乱用防止のためには、厳正な取締りと共に、薬物に対する正しい知識や、薬物乱用の恐ろしさについて教育する予防啓発活動が重要と認識しており、「不正大麻・けし撲滅運動(1960年より実施。本年は5月1日から6月30日まで)」、「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動(1993年より実施。本年は6月20日から7月19日まで)」、「麻薬・覚せい剤禍撲滅運動(1963年より実施。本年は10月1日から11月30日まで)」を、関係機関と協力しながら全国的に展開している。なお、(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターの主催で行われた「『ダメ。ゼッタイ。』国連支援募金」には、 1997年に約1億7百万円の募金が寄せられ、そのうち5千万円が国連を通じ、開発途上国で薬物乱用防止活動に従事しているNGO(非政府機関)の活動資金として寄付された。
 文部省では、児童生徒における薬物乱用、喫煙及び飲酒問題については、児童の健康に重大な影響を及ぼす問題としても憂慮しており、特に1997年に覚せい剤の乱用により補導された中学生が対前年度比で2倍に増したなどの事実を極めて深刻に認識している。
 このため、中学校、高等学校においては、教科「保健体育」において薬物乱用防止に関する指導を行っており、小学校においても、教科「体育」や特別活動において、薬物乱用防止について指導することができるとされている。また、生徒用教材及び教師用指導資料の作成・配布、薬物乱用防止に関する指導を担当する教員を対象とした研修会の開催、警察職員や麻薬取締官OB等の専門家を活用した「薬物乱用防止教室」の開催等の施策を実施している。
 更に、1998年から「薬物乱用防止教育支援体制整備・活用モデル推進事業」や「健康教育総合推進モデル事業」等の施策を実施することとしている。

2.飲酒
 未成年者の飲酒に関する規制は、報告書パラ47のとおりである。
 警察では、飲酒している少年を発見した場合には、補導して注意、助言を行っているほか、少年が飲用することを知りながら酒類を販売供与した事案については、未成年者飲酒禁止法や風俗営業法等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づき取締まりを行っている。
 また、酒類販売業者等に対し、少年の健全育成に配慮した販売等をするよう働きかけを行っているほか、未成年者の飲酒防止について、関係機関・団体と連携して広報啓発活動を推進している。
 未成年の飲酒問題は、アルコールによる健康障害のみならず交通事故や非行等様々な問題と関連があり、大きな社会問題であると認識しており、未成年者の飲酒の心身に及ぼす危険性について、関係省庁で広く普及・啓発活動を続けてきたところである。
 厚生省では、全国の中・高校生の飲酒実態及び日常生活習慣等の関連要因を明らかにし、未成年者の飲酒対策に必要な基礎資料を得ることを目的として、1997年12月、「未成年者の飲酒行動に関する全国調査」を実施したところである。
 文部省の指導の下で、中学校・高等学校においては、教科「保健体育」において飲酒防止に関する指導を行っており、また、小学校においても、教科「体育」や特別活動において、飲酒防止について指導することができるとされている。更に、生徒用教材及び教師用指導資料の作成・配布等の施策を実施している。

3.自殺
 我が国では、昨今、児童生徒のいじめ問題が深刻化しており、いじめが関係したと考えられる自殺が発生するなど憂慮すべき状況にある。この問題は、児童生徒の人権にも関わる重大な問題であり、文部省では、「弱い者をいじめることは人間として絶対に許されない」との強い認識に立ち、学校においてその解決のため真剣に取り組むよう都道府県教育委員会等を指導している。また、児童一人一人を大切にし、個性を生かす教育の推進、教員の資質能力の向上、学校外の高度な専門家の学校への配置を進めるなど、教育相談体制の整備、家庭、学校、地域社会の連携の推進という観点から各種施策を推進しているほか、教育活動の全体を通じて、生命及び人権尊重の精神の指導の徹底を図っている。また、警察では、自殺のおそれのある少年を発見した場合に保護を行っているほか、少年相談活動を通じて、悩みや困りごとを持つ少年や保護者等に必要な助言を行っている。
 なお、1997年に自殺した少年は469人(うち男331人、女138人)で、自殺の原因として多いのは、学校問題(117人、24.9%)、家庭問題(64人、13.6%)、病苦等(36人、7.7%)となっている。

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34.日本が児童の権利条約を批准して以来、学校の教育課程の見直しが行われてきたか否かにつき説明ありたい。また、29条の観点から、政府により人権、特に児童の権利を学校の教科課程に含めるための施策がとられてきたか否かにつき詳しく述べられたい。

(回答)
1.従来より学校においては、日本国憲法及び教育基本法の精神に則り、小・中学校の社会科や道徳、高等学校の地理歴史科、公民科及び特別活動等で、児童生徒の発達段階に即して、基本的人権に係る教育を系統的に実施しているところである。これらの科目の全ての教科書においては、児童の権利に関する条約について具体的に取り上げられており、条約の作成経緯や条約の内容についての教育が行われているものと承知している。

2.また、21世紀に向けた教育内容の在り方については、児童の権利条約の趣旨も踏まえ、現在、教育課程審議会において、他人を思いやる心、生命や人権を尊重する心の育成等を含めた総合的な観点から、鋭意検討を進めているところである。

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35.学校及び他の保護施設におけるいじめを予防し、またこれと闘うためとられた、あるいは計画されている施策を示されたい。

(回答)
1.1997年度において、公立小・中・高等学校及び特殊教育諸学校におけるいじめの発生件数は約5万2千件となっており、前年度に比べて減少しているものの、依然として憂慮すべき状況にある。
 いじめの問題の原因・背景は、家庭・学校・地域のそれぞれの要因が複雑に絡み合っていると考えられ、その解決を図るため、文部省では、(1)家庭・学校・地域の連携の推進、(2)一人一人を大切にした個性を生かす教育の充実、(3)教員の資質能力の向上等、(4)教育相談体制等の整備という視点から各種の施策を総合的に実施し、「いじめは人間として絶対に許されない」との強い認識に立ち、学校においてその解決のため真剣に取り組むよう都道府県教育委員会等を指導している。
 特に1998年度からは、スクールカウンセラーの配置学校数を大幅に拡充するとともに、児童生徒に対する心の教育の一層の充実を図ることとしている。
 また、文部省では、学校が、特に悪質ないじめを行う児童生徒に対しては出席停止を含む毅然とした指導を行うとともに、学校だけで問題に対応するのではなく、積極的に関係機関や家庭などと連携を図って対応していくよう、都道府県教育委員会等を通じ指導していくこととしている。

2.我が国の人権擁護機関では、その解決のために、1994年度から1997年度までの間、啓発活動重点目標として「子どもの人権を守ろう」を掲げ、全国的な啓発活動を行った。本年は特に、「いじめ」を始めとする子どもに対する人権侵害から児童を守るのは大人の責任であることを訴えるポスターを作成し、全国の法務局・地方法務局等を通じて広く全国に配布しているが、今後とも、啓発冊子・ポスターの作成・配布、講演会を実施する予定である。
 また、我が国の人権擁護機関では、1994年度に「子どもの人権専門委員」制度を導入し、具体的な「いじめ」事案が発生した場合に、法務局職員及び「子どもの人権専門委員」が学校、関係機関及び地域社会と連携し、人権相談あるいは人権侵犯事件として適切に対処しているところである。

3.厚生省では、児童福祉施設に入所中の児童については、児童相談所による児童福祉施設の長からの児童の保護・養育に関する報告徴収、都道府県による施設に対する指導監査及び施設職員に対する研修などを通じて、適切な処遇がなされるよう対応してきているところである。
 また、児童相談所等においては、専用電話を設置しての相談援助活動として「子ども・家庭110番」を実施する中で、フリーダイヤルによる相談強調期間の設定、テレビ・ラジオ等を利用した広範な広報等を行っている。なお、児童相談所における児童本人からの相談件数は1995年度において約1万5千件であり、 5年前の約6千件に比較して2.5倍となっている。
 更に、福祉事務所の家庭児童福祉に関する相談指導業務を充実強化するために家庭児童相談室を設けており、家庭児童相談室が地域住民に十分に活用されるように、その設置場所、業務内容等に関する広報活動を行っている。

4.警察では、関係機関等と協力しつつ、少年相談の充実、地域住民への協力要請等によるいじめ事案の早期把握に努めると共に、発生したいじめ事案の真相解明を徹底させることにより加害少年に対する適切な処遇に努め、被害少年の性格、環境、精神的なダメージの程度等に応じたきめ細かなフォローアップを実施することとしている。具体的には、いじめにより心身に大きなダメージを受けた被害少年を対象に、少年相談専門職員、少年補導職員による継続的なカウンセリング活動や保護者、関係者等と連携しての支援活動等を行っている。また、解明した事案の背景等参考となる事項の関係方面への提供などによる具体的対策の検討・推進等の取組を行っている。

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36.児童が少数者言語による教育を受けているか否かを示されたい。

(回答)
1.学校教育法第18条において、小学校教育の目的を実現するために達成するべき目標の一つとして「日常生活に必要な国語を、正しく理解し、使用する能力を養うこと」を定めている。中学校及び高等学校においても、心身の発達に応じて小学校と同様の趣旨で教育を施すこととしている(同法第35条、第41 条)。この目標は、学校教育全体を通じて達成されるべきものであるので、我が国における正規の学校教育においては、原則として日本語で授業が行われている。
 なお、中学校、高等学校においては、地域、学校及び生徒の実態等に応じて特に必要がある場合は、学習指導要領に示す教科以外に、各設置者及び学校の判断により、「その他特に必要な教科」等を一般的に開設できることとしている。

2.従って、例えばアイヌの生徒が多く通う中学校、高等学校において、アイヌ文化やアイヌ語に関する教科等を開設することは可能であり、実際、高等学校において「比較文化」という科目を設け、アイヌ民族の歴史と文化という内容の中で、アイヌ語についてとりあげている実例もある。

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37.教職員に対し、児童の権利条約に関する教育を行うための施策がとられてきたか、あるいは計画されているか否かにつき詳しく述べられたい。

(回答)
1.児童の権利条約の趣旨については、各学校において児童の発達段階に応じ適切な指導がなされるよう、1994年5月20日付で文部事務次官通知を発出するとともに、各種の広報誌や刊行物を活用してきめ細かな周知に努めている。

2.この他、教育委員会の担当者や教員を対象とする各種の研修会や会議の場でも本件条約の周知に努めている。例えば、文部省の主催する教職員等中央研修講座においては、「人権尊重教育」や「教育関係法規」等の講義の中でこの条約を踏まえた学校教育の充実について指導している。

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38.第31条、特に休息及び余暇の権利の実現のためとられた施策及びそのため割り当てられた資源につき述べられたい。

(回答)
1.我が国では、児童福祉法第40条に規定しているとおり、児童に健全な遊びを与えてその健康を増進し、または情操を豊かにすることを目的とした児童福祉施設である児童館及び児童遊園等児童厚生施設の設置の促進等に努め、児童の権利に関する条約第31条の趣旨を踏まえた努力を行っているところである。

2.また、子どもたちのゆとりを確保し、「生きる力」をはぐくむため、2002年度に完全学校週5日制を実施することにしている。これは、子どもたちが主体的に使える時間を増やし、自然体験や社会体験などを通じ、豊かな心やたくましさを育てる場や機会を増やそうとするものである。

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39.保護を求めている児童及び難民児童に関し、現行の法律及び手続に関する情報を提供ありたい。

(回答)
1.我が国では、1981年の難民条約及び1982年の難民議定書の締結に際し、出入国管理令を改正し出入国管理及び難民認定法とし、難民認定制度を新設して、同制度を1982年1月より実施している。

2.難民の認定の基準は、同法上において、同条約第1条の規定又は同議定書第1条の規定にいう難民に該当するか否かによるものと規定されており、難民認定申請が行われたときは、その都度該当案件について調査を行い適正な判断を行うなど、これらの諸条約に定める義務を誠実かつ厳正に履行している。

3.なお、我が国では、出入国管理及び難民認定法上、「本邦にある外国人」であれば年齢に制限なく難民の申請は可能となっている。ただし、同規則上、16歳未満の者については、当該外国人の父若しくは母等による代理申請が認められている。

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40.特に以下の事項に関し、37条、40条、39条の観点から(パラ232〜243参照)更なる情報提供を行われたい。

a)児童の逮捕、抑留又は拘禁、投獄を最終手段として、また最短時間に限って、利用すること。

(回答)
1.強制措置の限定
 少年の逮捕、留置その他の強制の措置については、犯罪捜査規範や少年警察活動要綱の規定に従い、少年の特性に鑑み、逃走又は証拠隠滅のおそれのあることに加え、被疑少年の年齢、性格、非行歴、犯罪の態様等を勘案して、やむを得ないと認められる場合に限っている。
 また、やむを得ずこれらの強制措置を決定し又は執行する場合であっても、その時期、場所、方法等について慎重な配慮をして、当該少年の心情を傷つけることのないようにしている。

2.逮捕、勾留及び勾留にかわる観護措置
 1996年における交通関係の業務上過失致死傷及び道路交通法違反を除く検察庁既済人員のうち、検察庁による事件処理の時に20歳未満であった者は、約 14万人である。そのうち、逮捕された者の割合は、約9%、勾留され又は勾留に代わる観護措置をとられた者の割合は、約7%である(勾留された者の割合が約6%、勾留に代わる観護措置をとられた者の割合が約1%)。
(注)1996年において、検察庁における事件処理の時に20歳以上であった者のうち、逮捕された者の割合が約47%、勾留された者の割合が約42%であったことと比較すると、20歳未満の者についてのこれらの割合は、極めて低い割合にとどまっているということができる。

3.少年院及び刑務所での収容
 少年院の収容期間やその上限は、少年院法に定められており、原則として20歳までとなっている(第11条第1項本文)が、少年院の長は、在院者に対して矯正の目的を達したと認めるときは、地方更生保護委員会に対し、退院の申請をしなければならない(少年院法第12条第1項)とされ、また、少年院の長は、在院者が処遇の最高段階に向上し、仮に退院を許すのが相当であると認めるときは、同委員会に対し、仮退院の申請をしなければならない(同条第2項)。
 仮退院については、少年院長及び地方更生保護委員会が、少年の非行性の進度、身体的・精神的な状況等を個別に判断し、適当と認められる少年は施設外処遇に移行させ、少年院における矯正教育と仮退院後の保護観察とが一貫性を保つことにより保護処分の効果を上げるよう運用されている。
 平均収容期間は、全体で261日(平成8年の仮退院者、以下同じ)であるが、問題性が単純又は比較的軽い少年を対象とした一般短期処遇においては148 日、問題性が上記の少年よりも進んでおらず、開放的な環境で処遇するのに適した少年を対象とした特修短期処遇においては78日、短期処遇では矯正教育の効果を十分にあげることのできない少年を対象とした長期処遇においては370日である。
 なお、我が国において、1996年の犯罪少年及び触法少年(いずれも道路交通事件違反の少年を除く。)であって、家庭裁判所で実質的な終局決定を受けた人員(168,339人)のうち、少年院送致となった人員は3,717人(2.2%)であり、1996年の1年間に新たに刑務所に収容された20歳未満の者は35人である。

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b)弁護人その他の適切な支援を行う者と速やかに接触する権利を有し、裁判所その他の権限のある独立かつ公平な当局において、その自由の剥奪の合法性を争い、並びにこれについての迅速な決定を受ける権利を有する可能性。

(回答)
1.まず、条約第37条(d)の規定する「弁護人その他適当な援助を行う者と速やかに接触する権利」は以下のとおり確保されている。
 我が国においては、憲法第34条及び第37条第3項を受けて、刑事訴訟法第30条第1項は、被告人及び被疑者に弁護人選任権を認めており、刑事訴訟手続の過程で拘留中の場合においても、弁護人を選任し、弁護人と連絡をとることが認められている。また、少年法第10条第1項は少年及びその保護者に附添人選任権を認めており、少年審判手続の過程で拘留中の場合においても、附添人を選任し、附添人と連絡をとることが認められている。

2.次に、条約第37条(d)の規定する「裁判所その他の権限ある、独立の、かつ、公平な当局においてその自由の剥奪の合法性を争い並びにこれについての決定を速やかに受ける権利」は以下のとおり確保されている。
(1)刑事訴訟法上、裁判官・裁判所が勾留に関して行った裁判に対して不服がある者は、起訴前、起訴後を問わず不服を申し立てて再審査を求めることができる(準抗告(同法第429条第1項第2号)、抗告(同法第419条))。また、再審査の結果に対し不服がある者は、憲法違反、判例違反を理由とする場合、最高裁判所に対し特別抗告ができる(同法第433条第1項)。
 また、同法によれば、被告人は上訴権を有し(同法第351条第1項)、第一審の判決に対し訴訟手続の法令違反、法令の適用の誤り等を理由として高等裁判所に控訴できる(同法第372条、第377条ないし第382条、第383条、第384条、裁判所法第16条1号)ほか、憲法違反、最高裁の判例違反等を理由として最高裁判所に上告できる(刑事訴訟法第405条、第406条)。
(2)また、少年法は、保護処分の決定に対し、法令の違反、重大な事実誤認、処分の著しい不当を理由として抗告を認めており(同法第32条)、また、憲法違反、最高裁の判例違反等を理由とする再抗告をも認めている(同法第35条第1項)。
(3)さらに、人身保護法は、法律上正当な手続によらないで身体の自由を拘束されている者は同法の定めるところによりその救済を請求することができる旨規定している(同法第2条)。

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c)刑法を犯したと申し立てられ、あるいは訴追され、認定された児童が、尊厳及び価値に関する当該児童の意識を促進させるような方法であって、当該児童が他人の人権及び基本的自由を尊重することを促し、かつ当該児童の年齢を考慮し、その児童が(社会に)復帰し及び児童が社会において建設的役割を担うことがなるべく促進されることを考慮した方法で取り扱われる権利。

(回答)
少年が罪を犯した場合については、以下のとおり成人とは異なる手続を定め又は措置を講ずることにより、その年齢を考慮し、将来社会において建設的な役割を担うことを促進するものとしている。

1.少年に対する処分を決定するまでの手続
(1)少年が罪を犯した場合等については、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整を図るとの観点から、少年法等による措置を採ることが原則であり、刑罰又は保安のための拘禁を科すという体系にはなっていない(少年法第1条、第18条、第20条、第24条)。
(2)上記(1)の措置は、司法機関である家庭裁判所が第一次的に行うこととなっている(少年法第41条、第42条、第20条)。
(3)家庭裁判所の決定により、一定の場合、少年についても刑事手続に移行することがあるが、16歳未満の少年については刑事手続に移行できないこととなっており、少年の年齢を考慮している(少年法第20条)。
(4)少年院等への収容は14歳以上の少年が対象とされ、さらに年齢等により施設を異にする配慮がされている(少年院法第2条)。
(5)少年の勾留はやむを得ない場合に限定され、警察の留置場に勾留する場合であっても、隔壁等により成人の留置室とは分離された少年用の留置室に留置している。また、運動場、浴室、接見室等に向かう通路部分についても障壁等により成人の留置室とは遮断され、相互に姿が見えないように構造上の配慮を行っている。さらに、入浴、運動等の時間も少年と成人とでは別々にするなどして互いに接触しないように運営上の配慮を行っている。このように、少年と成人は完全に分離されて、少年は成人からの悪影響を受けないように保護されている。また、留置室は、その前面の下半分が不透明な板で遮断され、留置担当者が常時少年を監視できないようになっており、また、留置室内のトイレの周囲は壁で囲われているなど少年のプライバシー、羞恥心に配慮した構造となっている。
 また、少年の処遇に当たっては、少年の被疑事実の内容、少年の性格、性別、年齢等を考慮して行っているところである。
 一方、少年を拘置所等に勾留する場合についても、後記3(3)に記載のとおり、少年と成人の分離等に十分配慮している。
(6)少年の刑事事件手続についても、少年の被疑者又は被告人は、他の被疑者又は被告人と分離して、なるべく、その接触を避け、少年に対する被告事件は、他の被告事件と関連する場合にも、審理に妨げのない限り、その手続を分離しなければならないこととなっている(少年法第49条の第1項及び2項)。
(7)少年について罰金刑が言い渡された場合、換刑処分としての労役場留置はすることができない(少年法第54条)。
(8)刑に処せられた場合でも、仮出獄を可能とする経過期間が成人の場合より短縮されている(少年法第58条)。
(9)「少年のとき犯した罪により刑に処せられてその執行を受け終わり、又は執行の免除を受けた者は、人の資格に関する法令の適用については、将来に向かって刑の言渡を受けなかったものとみなす」など、選挙権や公務員の資格等について、成人と比し有利な取扱いがなされている(少年法第60条)。
(10)少年審判手続は非公開とされ(少年法第22条第2項)、記録の閲覧、謄写について一定の制限が課され(少年審判規則第7条)、さらに、罪を犯した少年等についての実名報道等が禁止されている(少年法第61条)。

2.捜査段階における配慮
 少年事件の捜査に当たっては、個人の基本的人権を尊重しつつ、関係法令を厳守することに加え、少年の健全な育成を期する精神と少年の特性に関する深い理解をもって当たることとしており、特に、次のような配慮をしている。
(1)捜査の時期、場所、方法等について慎重に配慮し、少年の心情を傷つけることのないようにしている。
(2)犯罪事実の究明にとどまらず、少年の性行及び環境を調査し、非行の原因の究明に努め、その少年に最も適切な処遇の方法を講ずるようにしている。
(3)その少年の正確な年齢を確認し、少年法等の規定による少年年齢に応じた処遇に過誤のないようにしている。
(4)少年の事案について報道機関に発表する場合は、少年の氏名、学校名はもとより、これを推知させるような事項も明らかにしないようにしている。

3.矯正施設での処遇
(1)少年鑑別所
 少年鑑別所は、主として、観護の措置として送致された少年の身柄を確保するとともに、家庭裁判所の審判及び保護処分の執行に役立てるための少年の資質鑑別を実施することを目的とする。少年に対する処遇の基本方針は、その者を明るく静かな環境に置き、安心して審判を受けられるようにすることである。そのため、入所当初は原則として単独室に収容することとし、その後、集団生活が可能と判断され、共同室に収容する場合にも、年齢や身分、交友関係等の身上関係を総合的にしんしゃくして居室を指定するほか、規律の維持又は衛生上問題がないものについては、自弁物品の使用を認めるなど、少年の人権に配慮し、その尊厳及び価値を尊重した取扱いをすることにより、最大限、少年のプライバシー保護に努めている。
 少年の処遇は、入所時の調査に基づいて計画的に行われ、入所時に少年に対し観護の措置について説示するとともに、所内生活への適応を促すために必要な事項を知らしめ、安心感と信頼感を与えた上で、運動、音楽、読書、テレビ視聴等の日課を実施して、少年の心情の安定に努めている。このような環境の中で、適切な行動観察を実施し、その結果を鑑別の基礎資料として有効に活用しつつ、少年の保護・矯正の具体的方法を示す鑑別結果通知書の内容の充実化を図ることにより、少年の問題性の除去並びに社会復帰の円滑化に資するよう努めている。

(2)少年院
 少年院における処遇は、明るい環境の下に、規律ある生活の中で、個々の少年の社会不適応の原因を除去するとともに長所を助成し、心身ともに健全な少年の育成を目的として行われる。少年院に入院した少年は、通常個室に収容され、落ち着いた環境の中で心身の状況等の身上に関する調査を行い、最も効果的な教育プログラムが作成される。その後、集団室での処遇に移行する場合があるが、その場合も個人用のロッカー、衣類・寝具、生活用品、学習用品等が給貸与され、必要に応じて自弁の物品の使用もできる等、少年のプライバシーを十分に尊重した環境を用意している。
 少年院では、在院少年を社会生活に適応させるため、その自覚に訴え、規律ある生活の下に、矯正教育として教科教育並びに職業の補導、適当な訓練及び医療を授けるものとされている。
 少年の処遇は、個々の少年の年齢、心身の発達の状況、非行の態様及び進度、家族関係等の保護状況、社会での交友の様子等を考慮しながら、社会生活に適応し、社会において建設的な役割を担えるようにすることを目的として、その少年に最もふさわしい教育プログラムを作成し、個別面接、集会活動等を積極的に取り入れた生活指導、中学校・高等学校教育及び大学入学資格検定等に係る教科教育、種々の資格取得が可能な職業補導、各種診療科目の医療措置、薬物乱用等の個々の問題性に対する問題群別指導等の処遇を実施している。
 さらに、集団生活を通じて、他の者の人権や基本的自由を尊重しながら、社会生活において必要とされる他人との協調性を身に付けさせることや、社会生活における自己の役割を洞察させる指導等も併せて実施しており、人の尊厳及び価値についての意識の確立を促進している。

(3)拘置所等
 拘置監に勾留された少年については、少年法上、成人の被収容者と分離する必要があるため、なるべく単独室に収容し、成人との接触を極力控えることとなるよう配慮しているほか、少年のみで集団室に収容する場合にも、その者の犯罪内容、性格、年齢等を考慮して同一室に収容する者を決定するなど、各処遇場面において配意しており、少年のプライバシーについては、拘禁の目的に反したり、行刑施設内の規律及び秩序の維持に支障がない限り、十分に尊重しているところである。

(4)少年刑務所
 刑事罰を科せられたことにより、少年刑務所に収容された少年の処遇に当たっては、懲役刑の執行を受ける者につき、所定の作業を課すとともに、それぞれの対象者の年齢、実質的な心身の発達の状況、資質等を考慮に入れて、その対象者が社会生活に適応するために必要な生活指導、教科教育、職業訓練、医療措置等の処遇を行うこととしているが、その詳細は、暴力団からの離脱指導、視聴覚教材の活用や民間協力者との面接による生活指導等、義務教育未修了者に対する教科教育及び希望する者に対する通信教育制度等を活用した高等教育課程への就学支援、有用な資格・技術の取得を目的とした職業訓練の積極的な運用、心身の疾病や薬物中毒により医療措置を要する者に対する医療専門施設等での治療・処遇等である。
 なお、集団室に収容する場合における少年のプライバシーについては、拘置監に収容されている者と同様に十分に尊重していることは言うまでもない。

4.保護観察
 保護観察は、犯罪を犯した人や非行に陥った少年を、通常の社会の中で生活させながら、その者に一定の遵守事項を守ることを義務づけ、これを守るように指導監督するとともに、就職を援助したり、社会・家庭生活等について助言するなどの補導援護を行うことによって、その改善更生を図ろうとするものである。なお、保護観察は保護観察所において実施される。
 保護観察の対象となる少年には、主に以下の2種類がある。
○家庭裁判所の決定により保護観察に付された少年(少年法第24条1項1号、犯罪者予防更生法第33条1項1号)
○家庭裁判所の決定により少年院に収容され、一定期間矯正教育を受けた後、仮退院を許された少年(犯罪者予防更生法第33条1項2号)

 保護観察の措置は、本人の改善及び更生のために必要かつ相当な限度において行うものとし、その実施に当たっては本人の年齢、経歴、心身の状況、家庭、交友その他の環境等を十分に考慮して、その者にもっともふさわしい方法で行うことが意図されるほか、次のような配慮がなされている。
(1)特別遵守事項
 家庭裁判所において保護観察に付された場合には、保護観察所の長が、少年院から仮退院を許す場合には地方更生保護委員会が、それぞれ一般遵守事項のほかに本人の問題、特性等を個別に勘案した特別の遵守事項を定めることとされているが、その設定に当たっては、本人が遵守することが可能で、かつ本人の自由を不当に制限しないよう配慮している。
(2)保護観察の内容
 一部の保護観察少年については、社会奉仕などの課題を自ら選択させ、その遂行を援助して少年が社会において有用な役割を果たし得る自覚を持たせるように努めている。
(3)保護観察の期間
 少年の保護観察の法律上の期間は、家庭裁判所において保護観察に付された場合も、また少年院を仮退院して保護観察に付された場合においても、原則として満20歳に達するまでであるが、実際においては、事案の内容、程度に応じ、一定の期間遵守事項を守るなど成績が良好な場合には、当該保護観察を早期に解除する運用がなされている。

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d)かかる児童を、その福利に適合した方法で取り扱うことを確保するための、施設における保護に代わる施策。

(回答)
1.家庭裁判所が決定する非収容的保護処分として、保護観察所の保護観察に付することが少年法(第24条1項1号)に規定されている。
 保護観察は、保護観察に付されている者を、遵守事項を遵守するように指導監督し、本来自助の責任があることを認めて補導援護することにより、その改善及び更生を図ることを目的としている。

2.保護観察の措置は、本人の改善及び更生のために必要かつ相当な限度において行うものとし、その実施に当たっては本人の年齢、経歴、心身の状況、家庭、交友その他の環境等を十分に考慮して、その者にもっともふさわしい方法で行うことが意図されるほか、次のような配慮がなされている。
(1)特別遵守事項
 保護観察所の長は、一般遵守事項のほかに本人の問題、特性等を個別に勘案した特別の遵守事項を定めることとされているが、その設定に当たっては、本人が遵守することが可能で、かつ本人の自由を不当に制限しないよう配慮している。
(2)保護観察の内容
 一部の保護観察少年については、社会奉仕などの課題を自ら選択させ、その遂行を援助して少年が社会において有用な役割を果たし得る自覚を持たせるように努めている。
(3)保護観察の期間
 保護観察の期間は、原則として満20歳に達するまでであるが、実際においては、事案の内容、程度に応じ、一定の期間遵守事項を守るなど成績が良好な場合には、当該保護観察を早期に解除する運用がなされている。

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e)第40条3項の観点から、刑法を犯したと申し立てられ、あるいは訴追され、認定された児童に特別に適用される法律及び手続の制定。

(回答)刑法第41条は、「14歳に満たない者の行為は罰しない」として、14歳未満の者については刑事上の責任を問うことができない旨を定めている。
 また、条約第40条第3項の規定する児童につき、司法上の手続に代わる他の措置を採ることについては、少年審判手続開始後の措置として、少年法第23条第1項に基づき児童福祉法の規定による措置を相当と認める場合に事件を都道府県知事又は児童相談所長に送致した上で、児童を指導し、又は施設に収容する等の措置を採ることとされている(少年法第18条、児童福祉法第26条、第27条)。

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f)関係する全ての児童に対しこのような保証について正当に告知することを確保するための施策。

(回答)観護措置決定手続及び少年審判手続においては、裁判官が少年審判手続、少年の諸権利等を少年自身に告げているが、その他にも、事件担当書記官は、少年及び保護者に対し、少年審判手続、少年及び保護者の諸権利等について説明した書面を交付又は郵送しており、家庭裁判所調査官が、調査として少年及び保護者との面接を行う際にも、手続及び権利等について分かりやすく説明している。

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41.獄中の児童の状況に関し、特に以下の事項について追加情報(パラ240〜243参照)を提供ありたい。

・若年犯罪者を拘禁するために存在する施設の種類、及び彼らの処遇に関し、どのような特別な規則が存在するか。

(回答)若年犯罪者の拘禁のために存在する施設の種類としては、報告書パラ257−260のとおり、少年鑑別所、少年院、少年刑務所の3種類である。

 矯正処遇の基本を定める法律として、少年鑑別所及び少年院については、少年院法が、少年刑務所については、監獄法がある。また、少年院法の委任を受けた省令として少年鑑別所処遇規則及び少年院処遇規則が、同様に監獄法については、監獄法施行規則及び行刑累進処遇令がある。さらに、処遇の詳細を定める訓令、通達等がある。例えば、少年院に関する基本的な訓令、通達としては、少年院における矯正教育の目的の効果的な達成を図るため、教育課程に関する必要事項を定めた「少年院における教育課程の編成、実施及び評価の基準について」(通達)、あるいは、少年施設に収容されている少年の保健衛生、医療等についての基本的事項を定めた「少年健康管理規程」(訓令)等がある。我が国においては、これらの関係法令により、これら施設の被収容者の処遇が行われている。

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・家族との接触の機会。

(回答)少年鑑別所において、少年と家族との通信は、所内の規律に反しない限り許されている(少年鑑別所処遇規則第40条)。面会についても当然のことながら許されており(同規則第38条)、在所中の少年の法的地位により、若干の取扱いの差異はあるものの、面会の実施に当たっては、職員が立ち会い、観護及び鑑別に害がないように努めることとなっているが(同規則第39条1項)、必要があると認められるときは、立会人なしでの面会も可能である。(同規則第 39条2項)。
 少年院においては、面会、通信は、矯正教育に害があると認める場合をのぞき許可しなければならない(少年院処遇規則第52条、第55条)とされている。保護者との面会については、少年が自己の問題性を克服し、円滑に社会復帰するために重要な意味を有するものであることから、矯正教育の一環として適切に実施する必要があるところ、その実施には十分に配慮するとともに、必要があると認められる場合には、家族に少年との通信又は面会を勧める等して、接触の機会の確保に努めている。少年院の面会は、面会するにふさわしい場所において行うこと(同規則第53条)とされており、各少年院には面会室が設けられているが、家族とのコミュニケーションを図る上で、室内の設備等に配慮するだけでなく、面会室以外の適切な場所においても面会をさせる等環境面でも十分配慮を行っている。また、面会に当たっては、これを有益に指導するため、職員が立会することとなっている(同規則第54条)が、個人のプライバシーを十分に尊重した上で、一種のファミリーカウンセリングの機会、少年の環境調整、出院後の生活設計等を行うための有効な機会等となるよう専門的知識を有した職員が細かい配慮を行い、家族との接触の場が有意義になるよう努めている。
 ただし、両施設とも、休庁日や勤務時間外の面会を実施するためには、職員の休日出勤や時間外勤務が必要であり、交代制勤務を行っているこれらの施設では、施設の保安及び管理・運営上、面会は、原則として、平日の執務時間中のみとしている。また、少年院においては、少年に対する矯正教育の時間を十分に確保し、その効果的な実施を図るため、家族の協力を得て、面会の回数、時間等につき、矯正教育の実施に支障がないよう配慮している。
 少年刑務所に収容されている受刑者についても、当然のことながら、親族との接見及び面会は許されている(監獄法第45条及び第46条)。接見回数は、原則として1月ごとに1回である(監獄法施行規則第123条本文)が、累進処遇の適用を受ける受刑者については、進級にしたがってその回数が増加することになっており(累進処遇令第63条)、教化上その他必要があるときは所長の裁量でさらにその回数を増加することができる(累進処遇令第66条)。さらに、 20歳未満の受刑者については、累進処遇の適用を受けていないものであっても、教化上必要と認める程度を標準として所長の裁量で回数を適宜増加することができる(監獄法施行規則第123条ただし書き)。面会は、接見所において(同規則第126条)、執務時間内に(同規則第122条)、1回30分以内で(同規則第121条)実施することとなっているが、所長が必要があると認めた時には、これらの制限によらないことができる。

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・かかる施設における状況を監視する方法。

(回答)被収容者処遇の状況を監視し、矯正施設の適正な管理運営を図るための制度として、法務本省(矯正局)が全国の矯正施設を対象として実施する巡閲・監査があり、また、各矯正管区が管轄区域内の矯正施設を対象として実施する管区監察がある。
 被収容者の拘禁を中心とする複雑多様な業務が原則非公開で行われている矯正施設の特殊性にかんがみ、これらの制度は、上級官庁による強力な監督・監視の必要性から設けられているものであり、いずれも当該上級官庁の幹部職員が施設を監査し、処遇の状況を監視するとともに、適切な指導を行うものである。
 なお、これらの巡閲・監査及び管区監察の結果はすべて、前者の場合は法務大臣に、後者の場合は矯正局長にそれぞれ報告され、改善すべき事項として指摘されたものについては、速やかに改善されている。

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収容(の適否)についての定期的見直しを確保する保証。

(回答)少年院及び少年刑務所に収容されている少年の収容の定期的な見直しを行う制度として、主として、懲役又は禁錮受刑者として少年刑務所に収容されている者に対しては仮出獄の制度があり、少年院収容中の者に対しては退院及び仮退院の制度があり、これらの制度は収容されている少年の改善更正と健全な社会復帰を目的としている。
 仮出獄については、有期刑の場合、刑期の三分の一を経過した後、(1)悔悟の情が認められること、(2)更正の意欲が認められること、(3)再犯のおそれがないと認められること、(4)社会の感情が仮出獄を是認すると認められることの4つの要件を総合的に判断し、保護観察に付することが本人の改善更正のために相当と認められるときに仮出獄を許可するものとされている(仮釈放及び保護観察等に関する規則第32条)。
 退院及び仮退院については、少年院長が在院者に対して矯正の目的を達したと認めるときは、地方更生保護委員会に対し、退院の申請をしなければならず(少年院法第12条第1項)、少年院長の申請に基づき、本人の資質、生活歴、矯正施設内における生活状況、将来の生活計画、帰住後の環境等から判断して、社会の順良な一員として自立することが確実であり、かつ、保護観察を要しないと認められるとき退院が許可され(同規則第39条)、また、少年院長は、在院者が処遇の最高段階に向上し、仮に退院を許すのが相当であると認めるとき、同委員会に対し、仮退院の申請をしなければならないとし(少年院法第12条第2 項)、保護観察に付することが本人の改善更生のために相当であると認められるとき仮退院が許可される(同規則第33条)。
 仮出獄及び仮退院(以下「仮釈放」という)は、手続上、本人の応当日までに仮釈放申請のための審査を行い、その後も、少なくとも6ヶ月ごとに審査を行わなければならない(同規則第19条)こととなっており、これに従って申請の適否について定期的な見直しを行っている。
 なお、仮釈放申請に係る審査に当たり、必要があるときは、外部の協力者、心理学等の専門家、裁判官等の意見を求めることとし(同規則第18条)、その適正な運用を確保している。

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・虐待を受けた場合の告訴手続。

(回答)
 少年院の被収容少年については、少年院処遇規則第4条で「院長は、在院者から処遇又は一身上の事情に関する申立てをきくため、随時在院者に面接するよう努めなければならない。」としており、この面接の際、少年は処遇等に関して不服申立てをすることができる。また、院長の面接の場合だけでなく、少年はいつでも職員に対して面接を願い出て、処遇等に関する相談をし、その際、不服を申し立てる機会が与えられている。さらに、少年院では、担当教官が親身になって少年と接し、常日頃から個々の少年の心情の把握に努めていることから、少年は気兼ねなく担当教官に相談し、意見を自由に申し出ることができる。
 少年院では、これらの機会に申し立てられた少年からの意見や不服について十分に検討し、生活及び処遇内容に反映させている。
 少年刑務所の被収容者については、監獄法施行規則第9条第1項で「所長ハ監獄ノ処置又ハ一身上ノ事情ニ付キ申立ヲ為サンコトヲ請ウ在監者ニ面接ス可シ」とし、被収容者は、所長に対し処遇一般又は一身上の事情について自由に相談する機会が与えられており、この面接の際に不服を申し立てることができる。また、被収容者が「監獄ノ処置」について不服がある場合、監獄法上、法務大臣又は巡閲官吏に対して不服を申し立てることができる「情願」という制度がある(監獄法第7条)。法務大臣に対する情願は、その内容を当該施設の職員が検閲することがないよう運用上秘密性が確保されており、書面をもって行われるものである(監獄法施行規則第4条)。巡閲官吏に対する情願は、法務大臣から巡閲を命ぜられた法務本省の上級幹部職員が施設を訪れた際、書面又は口頭で行われるものである(同規則第5条)。巡閲官情願の際にも、必要な場合以外当該施設の職員が立会しないなど、運用上の秘密が確保されている(同規則第6条)。
 なお、少年鑑別所については、収容期間が短期であるため、不服申立てに関する少年関係法令上の制度はないが、少年鑑別所処遇規則第2条「少年鑑別所においては、少年を明るく静かな環境に置いて少年が安んじて審判を受けられるようにし、そのありのままの姿をとらえて資質の鑑別を行うよう心がけなければならない。」の趣旨にのっとり、職員との自由な相談、意見・不服申し出の機会の付与、生活及び処遇内容への少年の意見の反映等について実質上少年院と同様の取扱いをしている。
 さらに、言うまでもなく、少年院、少年刑務所及び少年鑑別所に収容された者は、民事訴訟、刑事上の告訴・告発等、一般市民としての救済手段を利用することも可能である。

ーーーー

・これらの施設における教育及び健康に関する設備。

(回答)
1.教育設備
 少年院においては、中学校教育、高等学校教育及び大学入学資格検定受験指導等の学科教育を行うための教室、教科書等の図書及び各種の備品・文房具、職業能力を高め、職業資格を取得させるための実習用教室、各種機械及び車両、実習用の素材及び工具、学校教育をサポートし、職業資格を取得するためのコンピュータシステム及び専用教室等を備えている。
 少年刑務所においては、教育活動として、教科教育、通信教育、生活指導等のほか、覚醒剤事犯者、暴力団関係受刑者等個々の受刑者の特性や問題性に着目した類型別指導等も実施しており、そのための教室、教科書等の図書及び各種の備品・文房具を備えているほか、被収容者に公の免許若しくは資格を取得させ、又は特別の職業的技能を修得させるための職業訓練を積極的に実施しており、そのための訓練場、機械設備等も備えている。

2.医療設備
 少年院及び少年鑑別所においては、常勤医師又は非常勤医師を配置し、初期診療に必要な医療設備を整備の上、治療等に当たることとしているが、少年院に収容される少年のうち、専門的な医療の対象となる者は、複数の常勤医師が配置され、治療や検査に必要な医療機器を整備した医療少年院に収容し、治療等を実施することとしている。また、救急疾患等については、外部の医療機関で治療等を行う体制をとっている。
 少年刑務所においても、常勤医師又は非常勤の医師を配置し、被収容者からの申し立てがあった場合には、その症状等を見極めた上で適切な処置を行っている。また、専門的な医療を要する者及び長期の療養を要する者については、集中的な医療を施す医療刑務所等に収容し、治療等を実施することとしている。また、必要な場合には外部の専門医療機関に通院又は入院させる等万全の医療体制を整えている。

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42.買春、ポルノを含む児童の性的虐待及び性的搾取を予防し、これと闘うため、最近とられた施策に関し、更なる情報提供を行われたい。
 これに加え、旅行業法(パラ300)が、セックス・ツアーに関する取組みにおいて与えた具体的効果について示されたい。
 最後に、政府が、ストックホルムにおける児童の商業的性的搾取に反対する世界会議で採択された行動のための課題に述べられている勧告を考慮しているか否かにつき示されたい。

(回答)
1.児童の性的搾取の問題については、国内においても関心が高まっており、政府としても、児童の人権上看過できない重大な問題として認識し、この問題に対する取り組みを強化しているところである。例えば、警察では、児童買春や児童ポルノを含む児童の性的虐待および性的搾取について、現行の関係法令による取締りを強化したほか、被害児童が安心して相談したり、届け出ることができる環境や体制を整備して、被害の潜在化の防止を図るとともに、被害児童の受けた精神的打撃を軽減し、早期立ち直りを図るため、心理学、教育学等に関する知識を有する少年相談専門職員、少年補導職員等約1,000名の一般職員を配置し、保護者等と連携して被害児童に対するカウンセリングを実施するなど、継続的な支援を実施している。
2.また、1996年8月の児童の商業的性的搾取に反対する世界会議をきっかけとし、各関係省庁間の連絡会議を開き、児童買春、児童ポルノの防止を目的とした啓発活動に政府一体となって取り組んでいる。具体的には、世界会議において採択された「行動のための課題」において求められている児童の性的商業的搾取の防止のための施策の一環として、1996年12月に、日本ユニセフ協会と協力の上、児童買春根絶を訴えるポスター約2万枚を作成し、各省庁、全国の警察署、学校、空港、港湾、旅券業務窓口等に配布し、旅行業協会においても、旅行業者及び旅行者に周知徹底を図るなど、本件に対する国民の意識を高めるための啓発活動を行ったところである。
 この他、1997年5月には、(財)ユニセフ協会及び駐日スウェーデン大使館の共催により、東京において本件世界会議フォローアップのための国際シンポジウムが開催された。(関係省庁後援)。
3.また、1997年6月、与党議員によるプロジェクトチームが結成され、国内外における児童買春等を禁止するための法案作成作業が行われている(1998年5月国会に法案が提出される予定である。)。

 なお、旅行業法について、同法では、その第13条第3項において、旅行地の法令に違反する行為を行うこと及び旅行地の法令に違反するサービスの提供を受けることに旅行業者が関与することを禁止しており、更に、日本人海外旅行者の不健全な行動に関与したことが明らかな旅行業者については業者名等を公表すること等を内容とした通達を運輸省から発出することで周知徹底をはかっており、現在、旅行業者がいわゆるセックスツアーを主催又は手配している実態はなくなっている。

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