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日本政府第2回報告 平成13年11月
序論 児童は、人として尊ばれる
(児童憲章より)
1.1999年10月現在、我が国の児童(18歳未満の人口)数は、2,326万人(総人口比18.4%)、児童のいる世帯は、1,317.2万世帯(総世帯比29.3%)であり、1991年12月の「西暦2000年に向けての国内行動計画」作成時に比べ(総人口比23.06%、総世帯比38.5%)、少子化が着実に進行しており大きな問題となっている。 2.我が国は、特に第2次世界大戦後、福祉面及び教育面における諸施策の拡充・発展に努めており、いずれも高い水準の実績を上げている。
3.他方、近年、我が国では社会の高度化、複雑化により、児童や家庭を取り巻く環境は大きく変化しており、児童買春・児童ポルノ、いじめ、非行、自殺、薬物乱用、児童虐待などの新しい問題が深刻化している。 4.児童の人権問題への対応にあたっては、政府に加えて個人やNGO等の市民社会が重要な役割を担うと考える。今後、我が国が、人権分野で重要な国際的責任を果たしていくためには、政府とこうした市民社会が相互の信頼関係に基づき、建設的に協力し合い、それぞれの役割を果たすことが不可欠と考える。 5.我が国は、1994年4月22日、児童の権利に関する条約を批准し、1996年5月、条約第44条1に基づき第1回政府報告書を提出した。 I.条約の諸規定の実施のための一般的措置
A.留保の見直し 1.我が国は、委員会より、1996年5月提出の第1回報告を受けて出された最終見解で、1993年6月に開催された世界人権会議で採択された「ウィーン宣言及び行動計画」に照らし、第37条(c)に対する留保及び解釈宣言を撤回の方向で見直すことを検討するよう奨励する旨勧告を受けた。 2.我が国は、1993年6月に開催された世界人権会議の約1年後の1994年4月に、児童の権利に関する条約を批准した。その際、第 37条(c)に関し留保を付し、第9条1及び第10条1に関し解釈宣言を行った。今回の第2回報告の提出に当たり、我が国としては、第1回政府報告パラグラフ13及び第1回報告書審査児童の権利委員会からの質問に対する回答1.に基づき、留保及び解釈宣言を現在のところ撤回することは考えていない。 B.国内法及び国内実施と条約の諸規定を調和させるためにとられた措置(第4条) 3.第1回政府報告パラグラフ12参照。
4.1997年6月、「児童福祉法等の一部を改正する法律」が成立したが、その起草過程においては、条約の規定との整合性を確保するとともに、児童の最善の利益の確保、児童の意見表明権等条約の趣旨がより一層効果的に反映されるよう十分な考慮が払われた。 5.我が国は、条約の国内外における更に効果的な実現に貢献するため、2001年12月、横浜にて「第2回児童の商業的・性的搾取に反対する世界会議」を開催することとしている。本会議は、各国政府、関連国際機関及びNGO等1300名から2000名の出席者を想定しており、インターネット利用のものを含む児童ポルノ、児童の性的搾取からの予防・保護及び回復、児童のトラフィッキング等を主要のテーマとして開催するものである。本件会合も条約の効果的な実現に資するものである。 C.条約の国内法体系の中での地位 (憲法又は法律で挙げられる権利認定) 6.第1回政府報告パラグラフ2、3参照。 (条約と法律との関係) 7.第1回報告書審査児童の権利委員会からの質問に対する回答2.参照。 (裁判での条約の直接適用) 8.条約の規定を直接適用し得るか否かについては、これまで児童の権利条約を直接適用しうるか否かを明示的に判示した裁判例はないが、政府としては、当該規定の目的、内容及び文言等を勘案し、具体的場合に応じて判断すべきものと考えている。 D.条約と国内法及び他の国際法との関係(第41条) 9.第1回政府報告パラグラフ4から8参照。 E.条約の原則及び規定が司法決定の際に適用された例 10.法令等について児童の権利条約違反が当事者から主張された裁判例はいくつかあるが、児童の権利条約に違反する旨の判断を示した判例はこれまでのところない。 11.児童の権利条約に関する判例としては以下のようなものがある。 F.条約で認められた児童の権利が侵害された場合の救済措置 (a)子どもの人権専門委員 12.第1回政府報告パラグラフ15及び第1回報告書審査児童の権利委員会からの質問に対する回答7.のとおり、我が国は、児童の人権を保障する行政上の措置の一つとして「子どもの人権専門委員」を設置している。「子どもの人権専門委員」の主要な活動内容は、(イ)子どもの人権に関する情報の収集と整理、(ロ)子どもの人権侵犯事件の調査・処理及び人権相談、(ハ)子どもの人権を守るための啓発活動の企画・立案であり、具体的な活動として、「子どもの人権相談所」や「子どもの人権110番」を通じて、子どもの人権相談に応じ、また、子ども会等との連携による座談会を実施したり、子どもの人権意識についてのアンケート調査を実施するとともに、子どもの人権が侵害されているおそれがある場合には、法務局・地方法務局と連携して適切に対処している。
13.2001年度における「子どもの人権専門委員活動経費」は、14,449千円が措置されており、その内訳は、子どもの人権相談所や研修会などに出席する旅費として、12,605千円、執務参考図書を購入するための経費として、1,844千円となっている。 14.「子どもの人権専門委員」は、人権擁護委員の中から人権擁護局長が指名するものであるが、人権擁護委員は次のような民主的で慎重な手続により選出される。 (1)市区町村長は、法務大臣に対し、市区町村議会の意見を聞いて、当該市区町村の議会の議員の選挙権を有する住民で人格識見が高く、広く社会の実情に通じ、人権擁護について深い理解がある人の中から、候補者を推薦する。 (2)法務大臣は、上記候補者について、更に弁護士会及び都道府県人権擁護委員連合会に意見を求めた上、委嘱する。 15.委員の活動実績としては、前記「子どもの人権相談所」、「子ども人権110番」における人権相談の実施及びいじめ防止カード等の作成・配布による子どもの人権侵害の監視活動並びに子どもの人権侵犯事件における調査・救済活動の実施、機関紙発行及びマスメディアを通じての人権啓発活動、教育委員会等関係諸機関との連携による人権啓発活動の実施等が挙げられる。 (b)人権擁護委員 16.第1回政府報告パラグラフ16参照。 G.児童の権利実現のための国内行動計画等条約の枠組みの下での児童に係る包括的な国家戦略の策定
17.我が国は、1990年9月に開催された「子供のための世界サミット」において採択された「世界宣言を実施するための行動計画」パラ34(a)に基づき、1991年12月に国内行動計画を作成した。その後、ブトロス・ガーリ国連事務総長(当時)の要請を契機とし、1996年7月に中間レビューを行った他、第4回東アジア・太平洋地域子供サミットに関する大臣会合("Fourth
East Asia and Pacific Ministerial Consultation on Goals for Children and
Development Towerd the Year 2000")の際、1998年10月に中 間レビューを行った。 18.我が国は、パラグラフ5.のとおり、本年12月に「第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議」を開催することとしている。これに先立ち、1996年8月にストックホルムにて開催された「児童の商業的性的搾取に反対する世界会議」において、児童ポルノ、児童買春や児童の商業的性的搾取を目的とした児童の売買といった商業的な児童の性的搾取の撲滅に向けた「宣言」及び「行動計画」が採択され、各国は児童の商業的性的搾取への取組を定める「国内行動計画」を策定するものとされた。我が国は、これに基づき、「児童の商業的性的搾取に対する国内行動計画」を策定した。 H.児童の権利条約実施等のための国内機構 (a)児童の権利条約の各分野の所轄官庁及びその活動調整、進捗の監視
19.第1回政府報告書パラグラフ26から29のとおり、児童に関する施策は、福祉、教育等を含め幅広い分野にわたっており、関係する行政機関は多数に及んでいる。我が国は、青少年に関する施策を政府全体として総合的かつ効果的に実施するために、旧総務庁においては関係省庁の局長クラスで構成する青少年対策推進会議等を通じて関係省庁の施策の総合調整を行ってきたところであり、特に1998年7月24日には、本会議の構成員に旧総理府、旧経済企画庁、旧大蔵省、旧国税庁、旧通商産業省の関係局長等を新たに加え、同会議の下に置かれている関係省庁連絡会議についても、構成員の追加を行った。さらに政府の青少年対策の基本的な方針、重点的に推進する事項等を定めた「青少年対策推進要綱」を改正し、「基本方針」に児童の権利に関する条約との関連を明示するなど青少年問題に関する全政府的な取組体制の確立を図った。 このように、児童に関する施策については、各種施策の展開を通じて総合的かつ効果的に実施してきており、現在、当該施策を調整する制度を新たに政府部内に創設する予定はないが、引き続き現行の制度の下で、関係行政機関の緊密な連絡を図りつつ、児童に関する施策を総合的に推進していく予定である。 20.青少年の健全育成・非行防止に当たっては、児童の権利に関する条約の趣旨、児童の権利委員会からの最終見解にも留意しながら、各種施策を総合的に推進する。 21.条約履行を実質的に監視するためのメカニズムについては、第1回報告書審査児童の権利委員会からの質問に対する回答6.参照。 (b)中央当局と地方当局の間の調整 22.地方との関係について、第1回政府報告パラグラフ27のとおり、内閣府において、都道府県、政令指定市の青少年関係主管部局との連絡会議を開催し、国、地方相互の情報交換を行うなど、青少年に関する施策につき国と地方を通じた総合的推進に努めている。 23.我が国の地方公共団体では、この条約の締結を契機に、この条約の広報や児童の福祉施策の充実等条約に資する各種施策が新たに展開されている他、条約の趣旨に従い児童参加型の社会作りの促進を図るために子供議会を開催する等、児童の人権の尊重の一層の促進に向けた施策が積極的に行われているものと承知している。 24.各地方公共団体は、その地域の実情に応じて条約の実施に向けた施策に努めているものと承知しているが、その結果、地域間で実施の程度に多少格差があることも否めない。そこで、政府としては、引き続き地方公共団体の関係部局に対する助言又は中央行政機関の下部組織等に対する指導・助言の他、地方との連絡会議等を通じて、地方公共団体において等しく取り組むべき施策の地域間格差をなくすべく適切に調整を図っていきたい。 (c)児童の権利推進等のための政府機関及び当該機関とNGOとの関係 25.児童の権利については、それぞれの省庁が実施している各種施策の展開を通じて保障されているところであり、その実施の責任及び評価については、それぞれの省庁が負っている。 26.青少年相談機関について、第1回政府報告パラグラフ28参照。
27.政府としては、条約を効果的に実施するためには、政府のみならず、社会全体として取り組んでいくことが重要であると認識しており、民間において行われている児童の権利の尊重及び保護の促進を目的とした様々な活動は、条約の実施に資するものであり、その重要性を十分認識しているところである。 (1)条約の実施に際して、政府とNGOとの対話を随時行っている。本報告書作成に際しても、児童の権利条約に関する政府の取組に関心を有するNGO等から、広く意見を聴き、必要かつ適当と判断される場合にはこれを報告書に適宜反映させることを目的として、外務省の主催によりNGO等との意見交換会を2回に亘り開催した。 (2)子どもの人権専門委員が、子どもの人権に関する情報収集と整理及び子どもの人権を守るための啓発活動の企画、実施を行うにあたり、地域の実情に応じ、学校、児童相談所の他、地域、PTA、民生委員等と連携を図っている。 (3)児童に対する虐待を早期に発見・対応する機関として児童相談所があり、関係機関、民間虐待防止団体と連携をとるよう都道府県知事等に通知している。 (4)児童を性的虐待及び性的搾取から保護するため、財団法人ユニセフ協会と協力の上、児童買春の根絶を訴える啓発活動を行っている。本年12月に開催される「第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議」の準備に際しても、右協会及び関係団体との協力を図っている。 (5)開発途上国における教育及び母子保健等の児童の福祉に資する事業に従事する民間団体の活動に対し、草の根無償資金協力及びNGO事業補助金制度を通じて、財政的支援を行っている。 (d)オンブズマン等、児童の権利擁護のための独立した機関
28.前述のとおり、児童の権利については、それぞれの省庁が実施している各種施策の展開を通じて保障されているところであり、その実施の責任及び評価については、それぞれの省庁が負っており、また、政府としては、条約を効果的に実施するためには、政府のみならず、社会全体として取り組んでいくことが重要であると認識しており、民間において行われている児童の権利の尊重及び保護の促進を目的とした様々な活動は、条約の実施に資するものであり、その重要性を十分認識しているところである。 (e)統計の収集・整備等
29.第1回報告書審査児童の権利委員会からの質問に対する回答5.参照。 (f)条約の実施状況の定期的評価
30.条約の実施状況を定期的に評価するための措置はとっていないが、前述のとおり、児童の権利については、それぞれの省庁が実施している各種施策の展開を通じて保障されているところであり、その実施の責任及び評価等は、それぞれの省庁が負っている。 I.NGO等の市民社会と協力してとられたイニシアティブ 31.パラグラフ27.のとおり、市民社会と協力して条約の実施に努めているところである。
K.条約の実施を確保するための国際協力 (二国間援助)
37.我が国は、社会開発部門への援助に積極的に取り組んでおり、1999年の実績では二国間ODAの約20%がこの分野に向けられており、1991年以来9年連続して世界第1位のODA供与国である。 (国際機関を通じた協力) 38.(1)児童救済分野における協力 (2)保健・衛生分野における協力 (3)女性支援(WID)/ジェンダー分野における協力 (4)教育分野における協力 (NGOを通じた協力)
39.我が国は、NGO事業補助金や草の根無償資金協力等の制度により、母子の健康、福祉の向上、児童の教育の普及に広く裨益する医療、保健、教育分野において、草の根レベルでの支援活動を行っている我が国NGOに対し資金面での協力を行っており、これらの制度はNGOが被援助国においてきめ細かい援助を実施できるよう大きく貢献している。我が国は1999年度、NGO事業補助金により約348.115百万円、草の根無償により約387.1百万円の支援を行った。
*括弧内は一般無償全体(債務救済、ノン・プロジェクト援助、草の根無償、留学生支援無償を除く)、また、円借款全体(債務繰り延べを除く)に占める割合(%)、技術協力は全体に占める割合(%)
*括弧内は一般無償全体(債務救済、ノン・プロジェクト援助、草の根無償、留学生支援無償を除く)、また、円借款全体(債務繰り延べを除く)に占める割合(%)、技術協力は全体に占める割合(%)
(「子どもサミット」フォローアップ) 40.パラグラフ17.参照。 L.条約の広報 (a)条約の広報 (各国の言語等への翻訳及び在日外国人の多くが使用する言語への翻訳)
41.従前より、日本語及び英語によりリーフレットの作成を行っている。また、仏、西、露、中、アラビア、ポルトガル語、韓国語、タイ語、タガログ語、ベトナム語条約全文を在日外国人からの希望に応じ提供できるようにしている。 (ホームページ等による広報)
42.外務省ホームページ(日本語・英語版共)において、児童の権利条約に関するページを設け、児童の権利条約(全文)、第1回政府報告書、同報告書に対する児童の権利委員会の質問及びこれに対する政府の回答並びに条約の最終見解をはじめ、シンポジウム等など各種関連文書を掲載しており、容易な閲覧及びダウンロードを可能にしている。なお、ホームページへのアクセス件数(ページビュー)は2000年4月から2001年3月までに167,884件(うち日本語ホームページへのアクセスは153,896件)である。 (学校教育のカリキュラムへの反映) 43.学校においては、この条約等人権に関する国際法の意義と役割、基本的人権の尊重、児童の成長や人間形成について指導することとなっている。1998 に告示した学習指導要領においても、児童の権利条約にも留意し、学校の教育活動全体を通じて人権に配慮した教育を行うことを一層推進することとしたところである。教職員を対象とする研修においても、児童の権利に関する条約に関する講座を含む、人権に関する内容を盛り込んでおり、その充実に努めているところである。 (b)児童と係わる公務員等への条約に関する教育 (教員)
44.教員の研修については、各都道府県市において、初任者研修をはじめ、経験年数に応じて行われる教職経験者研修等の機会に人権や生徒指導に係る研修を実施しているところである。 (警察官)
45.警察官に対しては、警察学校において、新たに採用された警察官や昇任する警察官に対し、少年の保護活動等に関する教育を行っているほか、少年警察活動に従事する警察官や少年補導職員等に対し、児童の権利の擁護に配意した適正な職務執行を期するための専門的な教育を行っている。 (矯正施設職員) 46.第1回政府報告の審査後に児童の権利に関する委員会で採択された最終見解では児童の権利に関する訓練について勧告されているが(パラグラフ33)、矯正施設の職員に対しては、矯正研修所及びその支所における各種研修プログラムの中で、児童の権利に関する条約を含む被収容者の人権に関する国際準則の内容についての研修を実施している。例えば、上級幹部職員となるために必要な教育訓練の中で外部講師及び法務省(矯正局)職員により児童の権利に関する条約等を含む国連文書に関する研修を実施し、本条約の趣旨、内容についての周知徹底を図っている。 (人権擁護行政に携わる職員) 47.人権擁護行政に携わる公務員の研修として、法務省では、全国の法務局及び地方法務局職員に対し、本省において人権に関する専門科研修を毎年実施しており、カリキュラムの中に児童の人権に関する科目を設け、児童の権利条約に関する講義を行う他、研修員が講演者となり、児童の人権をテーマとして模擬講演等を行っている。また、全国の法務局及び地方法務局においても、人権擁護行政に携わる職員を対象として、人権実務研修を実施しており、その中で本条約を始めとする児童の人権に関する講義が行われている。この他、法務省では、地方公共団体の人権啓発担当部局の職員に対し、人権啓発指導者養成研修会等を実施しており、児童の人権及び本条約についての講義を行っている。 (入管職員) 48.各種職員研修において、児童の権利条約等を含めた人権関係条約について講義を実施した。 (保護観察官)
49.更生保護行政の基本法である犯罪者予防更生法第2条において、「更生の措置は、本人の改善及び更生のために必要且つ相当な限度において行うものとし、その実施に当っては、本人の年齢、経歴、心身の状況、家庭、交友その他の環境等を充分に考慮して、その者にもっともふさわしい方法を採らなければならない」と定められており、従来から少年の保護観察に当たっている保護観察官に対しては、本条の基準を遵守するよう徹底を図っている。 (裁判官等)
50.裁判官については、最高裁判所において、条約の批准に際し、通知「児童の権利に関する条約の公布及び効力の発生について」を高等裁判所、地方裁判所及び家庭裁判所あてに発出するなどして、裁判官等の関係者に対する周知を図っているほか、各種研修において、少年事件や子の監護をめぐる諸問題に関する共同研究や、少年事件の報道と人権に関する講義など、児童の権利、保護又は福祉に関する諸問題をテーマとしたカリキュラムが行われており、その中で、児童の権利に関する理解を深めている。 (検察官) 51.検察官に対しては、「児童買春法の制定並びに児童及び女性に対する配慮について」などをテーマとした研修を実施した。 (児童福祉関係職員)
52.児童福祉の中心的行政機関である児童相談所の児童福祉司等に対しては、国が実施する初任者研修において条約の趣旨等についての周知を推進している。 (c)専門教育・服務規程 (専門教育) (警察大学校等)
54.年1回、警察大学校の少年警察専科において、都道府県警察本部の幹部警察官に対して、児童の権利の擁護に関する教育を実施しているほか、年2回(1998年から実施)、管区警察学校の少年警察実務専科において、都道府県警察の警部補、巡査部長に対して、同様の教育を実施している。 (大学)
55.大学におけるカリキュラムの編成は、各大学がその理念・目的に応じ、自主的に決定し、自らの責任において実施するものである。 (d)NGOの条約啓蒙・啓発キャンペーンへの参画とNGOの活動の支援 56.我が国のNGOにあっては、地域住民、児童、教職員等の参加で条約の勉強会を開催したり、また、条約に関する冊子を発行する等の活動をしていると承知している。 M.広報の公開・広報措置(第44条6) (報告の作成の方法)
57.報告書の作成に当たっては、内閣府、警察庁、防衛庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省が参加した。 (報告の広報) 58.パラグラフ42.参照。 (児童の権利に関する委員会のサマリーレコード及び最終見解の広報) 59.パラグラフ42.参照。 II.第1条(児童の定義)
A.児童の定義に係る条約と国内法との間の差異 60.我が国では、児童福祉法第4条において、児童を「満18歳に満たない者」と定義している。また、同法第1条第1項において、「すべての国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。」、第2項において、「すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。」と規定されており、右に基づき児童の福祉に努めているところである。 61.また、我が国は、児童の人格の完全なかつ調和のとれた発達が確保され、社会の中で個人として生活できるようにするため、現行の各法制の下において、実体面において児童の保護及び福祉をより一層充実させるべく諸施策の拡充に努めているところである。 B.国内法における最低法定年齢 (親権者の同意なしに法律、医療相談できる年齢) 62.我が国では、民法により、満20歳をもって、単独で法律行為を行うことができることとなっている。したがって、20歳未満の者が法定代理人の同意を得ずに法律・医療相談に係る契約を結んだ場合,当該契約は一応有効であるが、法定代理人は、当該契約を取り消すことができる。 (親権者の同意なしに治療・手術を受けることのできる年齢) 63.我が国では、民法により、満20歳をもって、単独で法律行為を行うことができることとなっており、20歳未満の者が法定代理人の同意を得ずに病院と医療契約及び手術に関する契約を結んだ場合でも、当該医療契約は一応有効であるが、法定代理人が、当該医療契約等を取り消すことができる。 (義務教育終了) 64.第1回政府報告パラグラフ40参照。 (危険を伴う仕事、パート・タイム、フルタイムの仕事に就業できる年齢)
65.労働基準法により、満18歳未満の者については、労働時間、休日労働についての制限、深夜業の原則禁止、危険有害業務の就業制限を規定している。また、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了していない児童を労働者として使用することは原則として禁止している。ただし、例外として、非工業的事業に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、労働が軽易であるものについては、行政官庁の許可により、満13歳以上の児童を使用することができ、また、映画の製作又は演劇の事業については、行政官庁の許可により、満13歳に満たない児童を使用することが可能である。 (結婚) 66.第1回政府報告パラグラフ39参照。 (性的犯罪) 67.第1回政府報告パラグラフ45参照。 (軍への任意入隊、徴兵) 68.我が国に徴兵制度は存在せず、全て自衛官は志願に基づき採用している。 (敵対行為への参加) 69.上記のとおり、自衛官の採用は、教育機関(自衛隊生徒制度)を除き、18歳以上の者を志願に基づくこととしており、また、教育機関に採用した者についても有事において敵対行為に直接参加させることは想定していないため、直接戦闘行為に参加するのは18歳以上の者に限られる。 (刑事責任) 70.我が国の刑法は、14歳未満の者の行為は罰しない旨規定しており、刑事責任を科し得る最低年齢は14歳である。 (捜査段階における身柄の拘束) 71.刑事手続の対象となるのは14歳以上の少年であり、捜査段階における身柄拘束がなされる最低年齢も14歳である。ただし、14歳以上の少年についても、少年の特性に配慮し、成人とは異なる取扱いがなされている。 (矯正施設への収容)
72.我が国には、非行少年の鑑別機関として少年鑑別所、矯正機関として少年院及び少年刑務所があり、勾留中の被告人及び被疑者を収容する機関として拘置監(拘置所)があるが、少年鑑別所は、家庭裁判所の観護措置の決定により送致された少年を収容するとともに、家庭裁判所の行う少年に対する調査及び審判並びに保護処分の執行に資するため、及び懲役又は禁錮の言渡しを受けた14歳以上16歳未満の少年に対する刑の執行に資するため、医学、心理学、教育学、社会学等の専門的知識に基づいて少年の資質の鑑別を行う施設である(少年法第3条、同第17条、少年院法第16条)。 (死刑及び無期懲役)
73.我が国の少年法第51条は、「罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、死刑をもって処断すべきときは、無期刑を科する。罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、無期刑をもって処断すべきときであっても、有期の懲役又は禁錮を科することができる。この場合において、その刑は、
10年以上15年以下において言い渡す。」と規定している。すなわち、死刑の最低年齢は、犯行時18歳以上である。無期刑の最低年齢は、法律に特段の定めがないので、刑事責任能力を問うことのできる犯行時14歳以上である。 (民事事件における証言) 74.民事訴訟手続においては、証人となりうる資格について年齢・能力による制限はない。 (刑事事件における証言)
75.刑事事件における少年又は幼児の証言能力に関しては、刑事訴訟法上明文の定めはないが、裁判例においては、年齢によって決まるのではなく、具体的事件における状況を前提として、個別的具体的に判断して決すべきものであり、その判断に際しては証言を求められている事項が何であるかも大きな要素であるとした上、強制わいせつ致傷事件において、被害時3歳6月、証言時3歳8月の被害児童の証言に証拠能力を認めたもの(東地判48.11.14判時
723.24)等がある。 (訴訟、賠償請求を提起できる年齢) 76.民事訴訟に関しては、単独で提起、追行することができるのは成年者(20歳以上)であるが、刑事訴訟に関しては、成人も含め私人が訴訟提起(起訴)することはできない。 (行政・司法訴訟に参加できる年齢) 77.行政訴訟及び民事訴訟においては、訴訟手続の主体となることができる資格について年齢による制限はない。 (刑事被告人になることができる年齢) 78.刑事被告人になることのできる最低年齢は、14歳以上である。被害者は、刑事訴訟手続や少年審判手続で意見を述べることができるが、被害者が児童である場合に、その年齢制限は特にない。 (身分関係の変更に同意できる年齢) 79.我が国では、民法により、単独で氏の変更、養子となること及び離縁の協議をすることができる年齢は、満15歳以上であるとされている。また、婚姻後は、20歳未満の者でも単独で離婚の協議をすることができる。 (家族に関する情報へアクセスできる年齢) 80.我が国の戸籍には、氏名、出生の年月日、実父母の氏名、実父母との続柄等が記載されているので(戸籍法第13条)、戸籍の謄抄本によってこれを確認することが可能であるところ、戸籍の謄抄本の交付請求について、特に年齢による制限を設けていない。 (相続、財産処理に係る法的能力) 81.我が国では、20歳未満の者は単独で有効な法律行為を行うことができないが、相続についての制限はない。 (団体の創設、団体への加盟) 82.我が国では、民法により、満20歳をもって、単独で法律行為を行うことができることとなっている。したがって、20歳未満の者が法定代理人の同意を得ずに団体の創設又は団体への加盟に係る法律行為をした場合、当該行為は一応有効であるが、法定代理人は、当該行為を取り消すことができる。 (宗教の選択、又は宗教的学校教育への出席) 83.第1回政府報告パラグラフ100参照。 (アルコールその他の規制物質の消費) 84.第1回政府報告パラグラフ47参照。 (児童の義務教育終了年齢と最低就労年齢との関係、右関係の教育を受ける権利への影響、及び関連条約の考慮) 85.労働基準法は満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了していない児童を労働者として使用することを原則として禁止している。ただし、例外として、非工業的事業に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、労働が軽易であるものについては、行政官庁の許可により、満13歳以上の児童を使用することができ、また、映画の製作又は演劇の事業については、行政官庁の許可により、満13歳に満たない児童を使用することができる旨規定している。 (結婚における法律上の男女間の差異) 86.婚姻に関して、我が国では、男は満18歳に、女は満16歳にならなければ、婚姻をすることができないものとされている(民法第731条)。 (性犯罪等における法律上の男女間の差異)
87.性犯罪等の犯罪に関して、刑法上、男女間で異なる取扱いをしていると思われる規定は、次のとおりであるが、いずれも男女の肉体的・生理的差異等を考慮して取扱いを区別したものであり、本条約第2条にいう「差別」には当たらない。 (刑法における思春期の基準) 88.刑法における思春期の基準は用いられていない。 III.一般原則
A.第2条(差別の禁止) (a)憲法又は児童関連の国内法における差別の禁止の原則・条約に定める権利が差別なく保障されるためにとられた措置
89.第1回報告書審査児童の権利委員会からの質問に対する回答14.参照。 (1)憲法の精神に則り、児童福祉法が、その第1条第2項において、「すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。」と規定している。 (2)児童福祉法をはじめ、児童手当法、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法等の支給に関する法律等には国籍要件はなく、国籍によって取り扱いに差異は設けられていない。 (3)児童買春・児童ポルノ法は、国籍等を問わず、すべての18歳未満の児童に買春行為等をした者を処罰している。 (4)第1回政府報告パラグラフ48で述べたとおり、国による児童に対するあらゆる形態の差別が禁じられており、少年鑑別所、少年院、行刑施設のいずれにおいても、収容された少年を公平に処遇することを基本理念とし、差別的な取扱いがなされることのないよう配慮がなされている。 (5)2000年12年12月には、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が公布、施行され、基本理念として、国及び地方公共団体が行う人権教育及び人権啓発は、学校、地域、家庭、職域その他様々な場を通じて、国民が、その発達段階に応じ、人権尊重の理念に対する理解を深め、これを体得することができるよう、多様な機会の提供、効果的な手法の採用等を旨として行わなければならないとされている。文部科学省では、関係機関等に対し、本法律の公布・施行にあわせ、学校教育・社会教育における人権教育を進めるに当たって、本法律の基本理念に則って一層適切に行われるよう、周知を行ったところである。 (b)差別があった場合に対抗できる措置
90.第1回政府報告51から53参照。 (c)最も不利な立場におかれている児童への差別防止
91.第1回報告書審査児童の権利委員会からの質問に対する回答15.参照。 92.障害者基本法第3条において、すべての障害者の個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有し、あらゆる分野の活動に参加する機会を与えることが定められている。
93.法務省の人権擁護機関では、児童の人権を含め、人権を尊重することの重要性を広く国民一般に認識させ、人権尊重思想の普及高揚を図るため、講演会・座談会の開催、テレビ・ラジオの放送、パンフレットの配布など積極的な啓発活動を展開しており、これらの活動は児童の人権問題発生の予防に寄与している。また、児童を含めたアイヌの人々、障害者、外国人に対する偏見・差別をなくすため、日常的な啓発活動のほか、人権週間(毎年12月10日の「人権デー」を最終日とする1週間を「人権週間」と名付け、大規模な啓発活動を行っている)、人権擁護委員の日(6月
1日)などに街頭啓発、講演会などを通じて全国的な啓発活動を実施している。
94.1951年の難民の地位に関する条約(難民条約)及び1967年の難民の地位に関する議定書(同議定書)で定義された難民(条約難民)及び条約難民認定申請者につき、国籍、氏名等人定事項については、難民認定を行う法務省においては、本人のプライバシー保護及び安全の確保の観点から、一切明らかにしておらず、条約難民又は右申請者(の児童)という事実をもって、直ちに社会的差別を受けるものではない。 (d)女児への差別根絶のための措置、第4回世界女性会議のフォローアップとしてとられた措置
95.我が国は、第4回世界女性会議において採択された「北京行動綱領」の要請を受け、1996年12月に「男女共同参画2000年プラン」を策定し、「北京行動綱領」で提示された新たな国際規範・基準を国内に取り入れ、諸施策を進めてきた。
96.第4回世界女性会議のフォローアップ会合である国連特別総会「女性2000年会議」に我が国より岩男壽美子男女共同参画審議会会長を首席代表とする、NGO(岩男代表を含め4名)、顧問議員団(5名)、外務省、人事院、総理府、文部省、厚生省、農水省、労働省等約40名からなる代表団が出席した。 (e)被差別集団に関するデータ収集 97.パラグラフ29.参照。 (f)社会・民族的緊張、レイシズム及び外国人蔑視に資するような児童に対する態度や偏見を防止・根絶 (g)児童が差別や処罰をうけることからの保護 99.パラグラフ89.参照。 (h)第2条の実施の際の主要な問題点・その問題の解決のための計画・差別防止における進捗状況の評価 100.障害者基本法第7条の2に基づき障害者基本計画を定め、実施状況を適宜点検し、計画の着実な実施を図っているところである。
101.法務省の人権擁護機関が取り扱った外国人に対する人権侵犯事件の中には、「公衆浴場における入浴拒否」事案、「外国人を中傷する噂の流布」の事案などがある。また、永住の外国人に対する差別言辞事案や差別落書き事案等の発生が見られる。 B.第3条(児童の最善の利益) (a)「児童の最善の利益」の原則の憲法及び関連国内法、規則への反映
102.児童福祉法第1条は、「すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、育成されるよう努めなければならない」と規定されているほか、同法第2条、3条及び母子保健法第3条等の法律等において各々児童の最善の利益を考慮することが前提とされている。 (1)児童相談所が施設入所などの措置を行う場合の専門性と客観性を高めるため、児童本人の意向を聴くことを明確化した。 (2)児童若しくはその保護者の意向が児童相談所の措置方針と一致しないとき、又は児童相談所が必要と認めるときには、医療や法律などの専門家からなる審議会の意見を聴くこととした。 (3)保育に関する情報の提供に基づき、保護者が希望する保育所を選択できる仕組みに改めた。 103.児童買春・児童ポルノ法1条は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利の擁護に資することを目的とする」と規定するとともに、同法は、捜査及び公判における配慮、児童に係る記事等の掲載等の禁止、心身に有害な影響を受けた児童の保護の規定等を設けている。 (b)「児童の最善の利益」の原則への考慮 (児童福祉施設)
104.児童福祉施設の設備及び運営についての基準については、厚生労働大臣が定める「児童福祉施設最低基準」(省令)により規定されており、児童福祉法に基づき、児童福祉施設の設置者はこれを遵守しなければならないこととなっている。 (新エンゼルプラン)
105.パラグラフ34.参照。 (家事審判) 106.家事審判法1条及び家事審判規則1条は、各々児童の最善の利益を考慮することが前提とされている。家事審判は、これらの規定にしたがって行われており、児童の最善の利益が考慮されているといえる。 (少年審判) 107.少年法1条及び少年審判規則1条は、各々児童の最善の利益を考慮することが前提とされている。少年審判は、これらの規定にしたがって行われており、児童の最善の利益が考慮されているといえる。 (矯正施設) 108.上記のとおり、少年法第1条において児童の最善の利益を考慮することが前提とされている。矯正施設について詳細に述べれば以下のとおりである。 (養子縁組)
109.我が国においては、未成年者を養子とする養子縁組としては、民法に基づく普通養子縁組及び特別養子縁組とがある。 (政策の立案・決定に際しての調査)
110.国内の各種政策の立案・決定に当たり、児童の育成という施策分野の特質ゆえに、無作為抽出対照実験のような調査を行うことはできない場合が多いが、児童及び親や教師などの関係者の意識・生活の動向等について常に調査研究が行われ、また、人口、世帯、社会基盤など児童に密接にかかわる統計や指標も整備されていることから、これらが各種政策の立案・決定に積極的に活用されているものと理解している。 (c)児童の保護・養護の確保 111.第1回政府報告書パラグラフ55参照。 112.児童福祉法に基づき、保護者に監護させることが不適当であると認められる児童を発見した者は、児童相談所等へ通告しなければならないこととなっている。児童相談所では、児童福祉法に基づき、保護者たる親権者又は後見人が著しくその監護を怠るなど、保護者に監護させることが著しく児童の福祉を害する場合には、当該児童を乳児院や児童養護施設等に入所させる等の措置をとることができる。なお、施設への入所措置等が保護者の意に反する場合は、家庭裁判所の承認を得た上でかかる措置をとることができることとされている。 113.児童相談所への児童虐待に係る相談件数が急増するなど、児童虐待に関する問題が深刻化していることから、児童虐待の防止等に関する法律が2000年11月に施行された。この法律に基づき児童虐待の早期発見・早期対応及び被虐待児童の保護等を促進する施策を一層推進している。 (d)第3条の3に基づきとられた措置 114.第1回政府報告書パラグラフ56参照。 (e)「児童の最善の利益」の原則に係わる専門家に対する研修 C.第6条(生命、生存及び発達に対する権利) (児童の生命に対する権利を保障し、児童の生存及び発達を確保するための環境の創出) 116.児童福祉法第1条第2項は「すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない」と規定している。さらに、母子保健法第3条が「乳児及び幼児は、心身ともに健全な人として成長してゆくために、その健康が保持され、かつ、増進されなければならない」と規定しており、これに基づき周産期・小児医療体制の整備等により、小児の健康保持を増進しているところでる。 (児童の自殺防止及びそのモニター)
117.少年期は、悩んだり、不安を抱いたりするものであり、学校の成績や友人関係等の問題について、誰にも相談できないまま解決策を見出せず、自ら命を絶ってしまう場合がある。警察では、街頭補導活動や少年相談活動等あらゆる警察活動を通じて、自殺企図少年の早期発見を行うとともに、当該少年を発見した際には少年相談専門職員や少年補導職員等による専門的なカウンセリングを実施するとともに、保護者等と連携した支援活動等を行い、少年の自殺防止に努めている。
118.児童が自ら生命を絶つということは、理由の如何を問わず決してあってはならないことであり、文部科学省では、心の教育を重視し、各学校において、学校教育活動を通じ、お互いに思いやり、尊重し、生命や人権を大切にする態度を育成し、生きることのすばらしさや喜び等について児童に適切に指導するよう、教育委員会を通して指導の徹底に努めているところである。 (児童の生存及び特定の年齢層が特に強く晒されている危険(性感染症、ストリート・バイオレンス)の防止) 119.増加する犯罪被害から児童を守るために、警察庁では、1999年12月、「女性・子どもを守る施策実施要綱」を制定し、児童を犯罪から守るための対策を強化しているところである。 具体的には、 (1)通学路・公園等を重点としたパトロール等警戒活動の強化 (2)防犯ブザー等防犯機器の無料貸出、防犯講習会の実施等 (3)児童が被害者となる事案の発生状況に係る情報(地域安全情報)の提供 (4)児童の緊急避難先となる「子ども110番の家」などの自主的防犯活動への支援 (5)児童が行方不明となった場合に捜索、発見活動を行う「子ども発見ネットワーク」の構築 等に取り組んでいる。 また、防犯灯、防犯ベル等の整備、死角となる草むらの除去等により犯罪被害に遭いにくい環境整備を図る「安全・安心まちづくり」についても市町村等と連携して実施しており、この一環として、2000年度予算において、パイロット事業として、街頭緊急通報システム(いわゆるスーパー防犯灯)を全国10箇所に設置することとしている。 (学校における性感染症防止対策) 120.1998年に改訂した学習指導要領において、中学校の保健体育科で、新たにエイズ及び性感染症を取り上げることを明記するなど、性感染症等の予防に関する指導内容を充実した。また、小・中・高等学校における児童生徒用教材の作成・配布、推進地域における実践研究、教職員対象の研修会の開催などの施策を実施しており、さらに、2001年度に、新たに教師用参考資料の作成・配布を行うこととしている。 D.第12条(児童の意見の尊重) (a)児童の意見の尊重への考慮 121.第1回政府報告パラグラフ61・62参照。 (b)立法その他の措置 (学校)
122.学校において児童生徒に対し、懲戒を行う際には、当該児童生徒等から事情や意見をよく聞く機会を持つなど児童生徒等の個々の状況に十分留意し、その措置が単なる制裁にとどまることなく真に教育的効果を持つものとなるよう配慮することについて、教育委員会等に指導してきたところである。一方、他の児童生徒の教育を受ける権利を保障するための制度である出席停止は、児童生徒の権利・義務に直接関わる処分であることから、その適用については適正な手続を踏むことが重要であり、従来から通知において当該児童生徒や保護者の弁明を聴く機会をもつことが望ましいこと、文書の交付により行うことが適当であることなど指導してきたところである。 (矯正施設) 123.少年鑑別所では、資質の鑑別の際に、少年の鑑別の妥当性確保の観点から、必要に応じ、得られた資料を少年に説明し、少年に自由に意見を述べさせ、これをもとに面接を進めている。少年院では、少年から処遇又は一身上の事情に関する申立をきくため、院長は随時在院者に面接するよう努めなければならないとされており(少年院処遇規則第4条)、行刑施設でもその施設の措置や一身上の事情について少年が申立を行いたいと願い出た場合は面接を実施することとされている(監獄法施行規則第9条)。また、これら施設の長が行うもののほか、矯正施設においては、職員が少年との日々の接触の中で日常生活や処遇の内容について少年の意見を聴取することが実務上行われている。 (大学) 124.パラグラフ55.参照。 (施設入所等) 125.児童福祉法(第26条)及びこれに基づく政令により、児童の意見が尊重されるよう、以下のような措置が採られている。 (1)都道府県知事(又はその権限の委任を受けた児童相談所)が施設入所等を決定するに当たり、児童若しくはその保護者の意向が当該措置と一致しないときは、法律・医学等の専門家が参加する都道府県児童福祉審議会の意見を聴かなければならないこと。 (2)施設入所等に際し、児童の意向を尊重するべきことを明文の規定に置いたこと。 さらに、施設生活においては、 (1)2000年6月より施行された社会福祉法に基づき、利用者からの苦情解決に係る社会福祉事業の経営者の努力義務を規定するとともに、都道府県が社会福祉協議会に運営適正化委員会を設置し、利用者からの苦情の相談に応じ、苦情の解決の斡旋等を行う仕組みを設けることとし、 (2)児童福祉施設については、児童福祉施設最低基準を改正し、2000年9月から、施設は入所児童等からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない等とした。 (児童相談所における措置等) 126.児童相談所が児童に対して児童福祉法に基づく措置を採る場合や解除する場合には、児童及び保護者の意向を確認することを児童福祉法第27条第8項で定めている。 (c)司法上及び行政上の手続において児童の意見を聴取される機会等 (司法上の手続) 127.司法上の手続に関して、我が国では、一般的に、自らが裁判の当事者又は利害関係人となる場合には、自己の意見を述べる機会が保障されている。 少年審判手続・刑事訴訟手続に関して、 (1)被告人等としての意見表明 (2)被害者としての意見陳述 (矯正施設に収容された少年)
128.矯正施設に収容された少年について、その少年に影響を与える手続を行う際にその少年の意見を聴取する機会の付与については、第1回政府報告パラグラフ71に述べたとおりであるが、更に懲戒及び懲罰の際の手続について詳細に述べれば、以下のとおりである。 (d)児童が意思決定過程に参加する権利を有する機関及び機会についての情報
129.近年、国民に広く関わりを持つ政策立案に当たっては、例えば各種審議会等が調査審議の過程で広く国民の意見の公募を行ったり、内閣総理大臣あてに電子メール、ファックス等による意見表明の機会が常時用意されるなど、国民から直接意見を聴取する機会を設けることがしばしば行われており、児童も国民の一部として、こうした意見表明の機会に積極的に参加することが期待されている。 130.学習指導要領では、小・中・高等学校段階において、学級活動・ホームルーム活動(学級を単位として、学級の生活の充実と向上等に資する活動として、児童生徒が話し合い、協力して学級内の組織作りや仕事の分担処理等の活動を行うもの)や児童会活動・生徒会活動(学校の全児童生徒をもって組織する児童会・生徒会において、学校生活の充実と向上に資する活動を行うもの)を実施することを定めており、各学校において児童生徒が意思決定に参加している。 (e)児童関連の専門家に対する児童の意思表明を促すための研修 (f)世論、協議及び陳情の評価から得られた児童の意見の法律、政治、司法決定への反映 132.児童福祉施設最低基準(省令)において、児童福祉施設は、処遇に関する入所している者又はその保護者等からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付ける窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならないと規定されている。 133.ストックホルムで開催された第1回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議において、日本からの児童ポルノの発信や、日本人による海外での児童買春が批判されたことなど、国内外からの児童買春、児童ポルノを規制すべきであるとの声の高まりを受け、児童の権利に関する条約の精神を踏まえ、より一層児童の保護を図るために児童買春・児童ポルノ法が制定された。 IV.市民的権利及び自由(第7条、8条、13~17条及び37条(a)) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||